世界観光機関

世界観光機関（UNWTO）について

世界観光機関（せかいかんこうきかん、英語：World Tourism Organization、略称：UNWTO）は、観光の発展を目的とした国際機関で、スペインのマドリードに本部を構えています。この組織は、1925年に設立された公的旅行機関国際連盟（IUOTO）が母体となっており、1975年に正式に設立されました。2003年には国際連合の専門機関として認可され、以降は「UNWTO」という名前で活動しています。

歴史と組織構成

UNWTOは、設立当初から観光に関する国際的な枠組みを形成しており、加盟国や地域の間で観光政策を強化してきました。2023年1月の時点で、158か国と6つの地域、2つのオブザーバー地域が加盟しており、技術的な支援や国際会議などを通じて、各国の観光政策の向上を目指しています。また、民間企業や地方自治体、大学も賛助加盟員として参加可能で、世界全体で431の団体が所属しています。

UNWTOは、事務局長の指導の下、5つの地域に分けられた地域委員会（アフリカ、アジア・太平洋、アメリカ、欧州、中東）と、14の専門組織で構成されています。特にアジア・太平洋地域については、北東アジアと南アジア地域に分けて対応しており、各国の文化や規模に応じた政策を展開しています。

日本における活動

日本においてもUNWTOの影響は大きく、1995年に大阪に設置されたアジア太平洋地域の地域事務所が活動を開始しました。その後、2012年に奈良県に移転し、2017年には東京事務所も開設されて、さらにアクセスの向上が図られました。また、UNWTOは定期的に総会を開催しており、2001年には第14回総会を大阪とソウルで共同開催しました。2015年の第21回総会では、日本が理事国に選出されており、国際的な観光施策において日本の役割が強化されています。

認証制度

2021年からは、持続可能な観光の促進を目的に「ベスト・ツーリズム・ビレッジ」という認証制度を開始しました。この制度では、訪問者数や観光インフラの整備が評価され、人口が1万5000人以下の小規模な町や村が対象となります。初年度には、北海道ニセコ町や美瑛町が認証され、その後も多くの地域が参加しています。

出版物と情報提供

UNWTOはまた、各地域での観光動向や市場情報を提供するため、さまざまな報告書や資料を発行しています。「世界の観光の傾向シリーズ」では、1980年から1992年にかけての国際観光のトレンドをまとめた報告書がネットワークを通じて配布され、それぞれの地域の委員会での会議に基づいています。

このように、UNWTOは観光業の発展を通じ、経済の活性化や持続可能な開発の実現において重要な役割を果たしています。観光業が国際的にどのように発展していくのか、今後の国際交流を見守ることが求められています。

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