中つ国の河川

中つ国の河川

J・R・R・トールキンの小説『指輪物語』や『シルマリルの物語』に登場する、中つ国を流れる様々な河川について解説します。これらの川は、単なる地理的な要素に留まらず、物語の舞台として、また歴史的な出来事の重要な場所として、深く物語世界に関わっています。

主要な河川

アンドゥイン (Anduin): 「大河」とも呼ばれ、中つ国で最も長く、重要な川の一つです。霧ふり山脈を源流とし、ロヴァニオン地方を流れ、ゴンドールを縦断して、ベルファラス湾に注ぎます。物語の中で、様々な種族がその流れに沿って生活し、多くの戦いや出来事の舞台となりました。特に、一つの指輪が失われたあやめヶ原や、ロスローリエンを流れる区間は重要です。

アイゼン川 (Isen): 霧ふり山脈から流れ出し、ローハン峡谷を南下した後、アドーン川と合流して海へと注ぐ川です。ローハンの西の国境を形作り、アイゼンガルドを水攻めにするエントたちの物語で重要な役割を果たしました。

シリオン (Sirion): ベレリアンド地方を流れる主要な川で、西のエルフの王国を分断し、多くの戦いの舞台となりました。その支流であるテイグリン川やアロス川も重要な役割を果たしています。

灰色川 (Greyflood): エリアドール地方の南部を流れ、かつてはアルノールの南の国境でした。にびしろ川とグランドゥイン川が合流して形成され、サルバッドの橋が架かっています。

その他の河川

アスカール (Ascar): オッシリアンドを流れるゲリオン川の支流で、「黄金の川床」の異名を持ちます。
アドーン川 (Adorn): ローハンの西の国境を形作る川で、アイゼン川と合流します。
あやめ川 (Gladden): アンドゥインに合流する川で、一つの指輪が失われた場所として知られています。
エント川 (Entwash): ファンゴルンの森から流れ出し、アンドゥインに合流する川です。
早瀬川 (Running): エレボールを源流とし、リューンの湖に注ぐ川です。
ブランドゥイン (Baranduin): ホビット庄を流れ、ホビットたちにとって重要な川です。
* ブルイネン (Bruinen): 裂け谷を流れ、エルロンドの力で増水して敵を撃退する川です。

物語との関わり

中つ国の河川は、物語の展開に深く関わっています。川は、人々の生活を支える水源であると同時に、国境や戦略的な要所としても機能しました。また、川の流れは、時の流れや運命の移り変わりを象徴し、登場人物たちの感情や物語のテーマを表現する役割も果たしています。

例えば、一つの指輪が失われたあやめヶ原は、その後の物語に大きな影響を与え、フロドとサムがモルドールへ向かう旅では、アンドゥイン川を船で進む場面が描かれています。また、ローハンを流れるアイゼン川は、サルマンの支配からの解放を象徴する出来事の舞台となりました。

これらの河川を辿ることで、中つ国の地理や歴史、そして物語の奥深さをより深く理解することができるでしょう。

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