中ソ友好同盟相互援助条約

中ソ友好同盟相互援助条約の概要

中ソ友好同盟相互援助条約（ちゅうそゆうこうどうめいそうごえんじょじょうやく）は、1950年にソビエト連邦と中華人民共和国の間で締結された重要な条約です。この条約は、両国の軍事的な協力と経済的な支援を約束するものであり、当時の国際政治において特に重要な役割を果たしました。条約は1980年に失効しました。

条約の背景

この条約が締結される背景には、1949年に設立された中華人民共和国と、第二次世界大戦後に強大な影響力を持つようになったソビエト連邦との間に存在した政治的な共通点があります。中国共産党が国連での代表権を求めていた際、旧来の中ソ友好同盟条約の破棄と新たな条約の結成が急務であるとされました。

毛沢東主席は、1949年12月にソ連のスターリン書記長との会合を持ち、条約問題にいたる交渉が始まりました。この際、スターリンは消極的な態度を示しましたが、その後1950年には新しい条約の締結に同意しました。

条約の内容

1950年1月、周恩来外相を中心とした政府代表団がモスクワに赴き、詳細な交渉が行われました。この交渉では、条約の名称が「中ソ友好同盟条約」から「中ソ友好同盟相互援助条約」に変更されました。また、条約の第一条における他国からの攻撃に対する援助義務についても、より具体的に明記されることとなりました。

条約は1950年2月14日にモスクワのクレムリンで正式に調印され、同日、他の協定も締結されました。その後、4月には中国政府によって批准され、即日発効しました。また、条約は特に日本およびその同盟国に対抗するためのものとされ、米国を暗に敵国と見なしていることが明示されています。

軍事的・経済的影響

条約締結を通じて、中国はソ連から最新鋭の軍備を手に入れました。具体的には、ジェット戦闘機MiG-15や戦略爆撃機Tu-16、弾道ミサイルなど、当時の先進的な技術が提供されました。これにより、中国は軍事的な近代化を進めることができました。また、この条約は、朝鮮戦争における朝鮮民主主義人民共和国への間接的な支援の根拠にもなりました。

継続的な影響と最終的な失効

中ソ友好同盟相互援助条約は、当初は両国の強力な同盟の象徴でしたが、1961年に中ソ対立が顕在化するにつれて、その意義は薄れました。1979年には、中国が中越戦争を開戦した際に、条約の更新を行わない意向を示し、1980年に正式に失効しました。このように、中ソ間の協力は時と共に変化していったものの、当初の条約は重要な歴史的事実として位置づけられています。

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