中ソ対立

中ソ対立

中ソ対立とは、1956年から1960年にかけて発生した中華人民共和国とソビエト連邦（ソ連）との関係悪化を指します。この対立は、当初は政党間の理論や路線の相違に始まりましたが、次第にイデオロギー、軍事、政治など多岐にわたる分野に広がっていきました。

対立の始まり

対立の始まりには、1956年2月にソ連共産党第20回党大会で行われたニキータ・フルシチョフによるスターリン批判が影響を及ぼしました。この批判が中国でのイデオロギー論争を引き起こし、その後のハンガリー動乱や毛沢東の反応を通じて、両国の溝が深まりました。

1957年10月、毛沢東はモスクワ大学で再びフルシチョフの平和共存政策を暗に批判しました。加えて、1958年のフルシチョフ訪中時に中国側が提案を拒否するなど、両国の不協和音が顕在化しました。1959年にはソ連が中国との国防技術協定を破棄する事態にもなり、この年10月にはフルシチョフの二度目の訪中の際にも共同声明が出されないままでした。

イデオロギーと軍事的対立

1960年には中ソ間で「レーニン主義万歳」という共同論説が発表され、その後の専門家引き揚げなどを通じて中ソ対立がより明瞭となりました。中国はフルシチョフを『似非共産主義者』とし、さらなる論争が繰り広げられました。1962年には中印国境紛争が発生し、ソ連がインドに武器を供与するという事件もあったため、中国はソ連に対して強い懸念を表明しました。

1970年代にはアメリカとの接近も見られますが、それもまた対立を深める一因となりました。1971年には、中国が国連の代表権を認められることになり、翌年にはアメリカのニクソン大統領が中国を訪問。これにより、中ソ対立の構図は一変しました。

東側諸国への影響

中ソ対立は、共産主義国の立場にも影響を与えました。具体的には、アルバニアが中国と友好関係を結び、ソ連からは距離を置く姿勢を見せました。ユーゴスラビアは非同盟の立場をとり、中国との関係を持つ一方でソ連とは距離を保つことになりました。ルーマニアや北朝鮮も相応の関係を築いていきました。

関係改善とソ連崩壊

1980年代に入ると、中国の鄧小平やソ連のゴルバチョフの登場によって、中ソ対立は改善の兆しを見せ始めます。しかし、1989年の天安門事件などを経て、冷戦が終焉に向かう中、ソ連は解体していきます。この結果、中ソ関係も何らかの新たな形に変わっていくことになります。

その他の影響

中ソ対立は、国内外の政治構造に多大な影響を与え、各国の共産主義政党の立ち位置や行動理念にも影響しました。日本においても、共産主義者同盟等の存在が見受けられ、対立の影響が広がる中で、それぞれの社会主義勢力がその立場を模索することになりました。

中ソ対立は、冷戦中の国際情勢を大きく変化させた歴史的な現象であり、単に中ソ間の問題に留まらず、世界全体に対して深い影響を与えたと言えるでしょう。

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