中区 (浜松市)

浜松市中区（なかく）

概要

浜松市中区は、かつて浜松市を構成していた7つの行政区の一つで、市の中心部を区域としていました。浜松駅周辺にはオフィスビルや商業施設が立ち並び、郊外には住宅街が広がっていました。2024年1月1日に区の統合・再編が行われ、全域が中央区へ移行し、中区はその歴史を終えました。

行政区の設置と変遷

2007年4月1日に浜松市が政令指定都市に移行した際、中区が設置されました。区の名称は、市民を対象にした投票の結果、「中央区」が最多であったものの、旧来の地区名や町名に「中央」が使われていたことから、審議の結果「中区」が採用されました。この行政区の再編は、浜松市の都市構造の変化を象徴する出来事でした。

地理

中区の面積は44.23平方キロメートルで、7つの行政区の中では最も小さく、他の市町村とは接していませんでした。東区、西区、南区、北区と境界を接していました。地形的には、佐鳴湖をはじめとする湖沼が特徴的で、地域ごとに異なる特色を持っていました。

地域

中区は、以下の地域に区分されていました。

中央地区: 伝馬町、鍛冶町、元城町など、浜松藩時代の城下町がルーツで、商業施設や商店街が集まるエリアです。
西地区、県居地区: 鴨江、三組町、伊場など、浜松駅の西に位置し、JR東海浜松工場や社宅がありました。
アクト地区、北地区、駅南地区: 中央、板屋町、中沢町、砂山町など、再開発により行政施設、大学、ホテルなどが集積したエリアです。
城北地区: 城北、布橋、広沢など、住宅地が多い一方で、文教施設が集中し、商店や飲食店も点在していました。
佐鳴台地区、富塚地区: 佐鳴湖畔の高級住宅地と、坂が多い富塚地区からなります。
江東地区、江西地区: 浅田、神田町、海老塚など、浜松駅の北東部・南部に位置し、住宅、工場、店舗が混在していました。
曳馬地区、萩丘地区: 曳馬、上島、住吉、幸、泉町、萩丘、高丘など、交通アクセスが良く、住宅、店舗、小型事業所が多い地域でした。
花川地区: 花川町、西丘町など、中区の最北端に位置し、花川運動公園があります。

地名

中区の地名は、歴史的な変遷を経てきました。1960年代から2010年代にかけて、住居表示の実施や町名の変更・統合が度々行われました。特に、2000年代には中央地区や花川地区で大規模な再編が行われています。この変化は、都市開発や時代のニーズに応じたものでした。

人口と平均年齢

2010年の国勢調査では、中区の人口は23万8,477人で、7区の中では最も多く、2015年時点の平均年齢は44.97歳でした。

歴史

中区の歴史は、1873年の小学校開校、浜松城の廃城から始まります。その後、測候所の開設、日本楽器（現ヤマハ）の創業、東海道本線・新幹線浜松駅の開業など、多くの出来事を経て発展してきました。特に、1990年代以降は、アクトシティ浜松の完成、静岡文化芸術大学の開学、花川運動公園の完成など、文化・教育施設が充実しました。2007年には、政令指定都市移行に伴い中区が発足し、2024年の行政区再編により、中央区の一部となりました。

行政

中区には、浜松市役所、消防局、上下水道部などの市機関のほか、静岡県浜松総合庁舎などの県機関、浜松合同庁舎などの国家機関がありました。また、各地域には協働センターや市民サービスセンターが設置され、市民生活を支えていました。

施設

警察署、消防署、病院、郵便局、図書館、博物館、美術館、劇場、運動施設など、様々な施設が中区には存在しました。これらの施設は、地域住民の生活、文化、教育を支える上で重要な役割を果たしていました。

経済

中区は、ヤマハ、河合楽器製作所、浜松ホトニクス、スクロール、日本通運といった上場企業や、鈴木楽器製作所、エンケイ、春華堂、三立製菓など、多くの企業が拠点を置く商業・工業の中心地でした。また、遠州鉄道などの地域企業も存在し、地域の経済活動を支えていました。

生活基盤

電力、ガス、上下水道、電信といったライフラインが整備されていました。また、教育機関としては、静岡大学、静岡文化芸術大学、浜松学院大学などの大学や、専門学校、高等学校、中学校、小学校、幼稚園が存在していました。

交通

鉄道は、東海道新幹線、東海道本線、遠州鉄道が区内を通っており、バスは遠鉄バスが運行していました。また、高速道路は通っていませんが、近隣にインターチェンジがありました。

観光

浜松城、鴨江寺、五社神社、蜆塚遺跡などの名所旧跡、アクトシティ浜松、浜松市楽器博物館などの観光スポット、佐鳴湖公園、浜松城公園、花川運動公園などの公園があり、多くの人が訪れていました。

文化・名物

浜松まつりやがんこ祭、遠州大念仏といった祭事や風習が根付いていました。また、芸能プロダクションや音楽団体も存在し、浜松の文化を彩っていました。スポーツでは、サッカーチームやオートレースが盛んでした。

出身・居住著名人

中区出身者としては、徳川秀忠、賀茂真淵、筧利夫、益戸育江、武田修宏などが、居住者としては熊谷真実などが知られています。

中区を舞台とした作品

漫画「怪物王女」「苺ましまろ」「帯をギュッとね!」などが中区を舞台に描かれています。

まとめ

浜松市中区は、歴史、文化、経済、そして人々の暮らしが深く結びついた地域でした。2024年に中央区へ統合されましたが、その歴史は浜松市の重要な一部として、記憶されるでしょう。

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