測候所

測候所とは

測候所は、気象庁の管区気象台の下部組織として、地域における気象観測を担う地方機関でした。主な業務は、気象観測、天気予報・注意報・警報の発表、地震や火山活動の観測です。気象官署として人員が配置され、地方[[気象台]]が担当する府県予報区の一部分を管轄していました。

現在、測候所として残っているのは、帯広測候所（北海道）と名瀬測候所（鹿児島県）の2か所のみです。帯広測候所は釧路地方[[気象台]]管轄の十勝地方を、名瀬測候所は鹿児島地方[[気象台]]管轄の奄美地方を担当しています。また、航空気象に関する業務を行う「航空測候所」が全国3か所の拠点空港に存在します。

測候所の歴史

明治時代に近代気象業務が開始されてから、戦前までは、現在の気象台の多くが測候所として設立され、業務を拡大してきました。当初は府県や民間が運営していましたが、1937年から1939年にかけて国営に移管されました。

測候所は、有人観測の時代に観測網を広げる過程で順次開設されてきました。しかし、技術の高度化により無人・自動観測が可能になったため、1997年から2010年にかけて人員削減による経費節減のため、多くの測候所が廃止され、特別地域気象観測所へと移行しました。自動化は地方[[気象台]]にも及び、天気や積雪の観測が自動化されています。

測候所の変遷

1939年（昭和14年）：仙台測候所が仙台地方[[気象台]]、名古屋測候所が名古屋[[地方[[気象台]]]]に改称。
1943年（昭和18年）：金沢、米子地方[[気象台]]が金沢、米子測候所に改称。新潟、広島測候所が新潟、広島地方[[気象台]]に改称。
1945年（昭和20年）：高松測候所が高松管区気象台に改称。
1952年（昭和27年）：鹿児島測候所が鹿児島地方[[気象台]]に改称。
1957年（昭和32年）：多数の測候所が地方[[気象台]]に改称。
1997年～2010年：103か所の測候所が特別地域気象観測所へ、1か所が地域気象観測所へ移行。帯広・名瀬の2か所は存続。

特別地域気象観測所への移行

1997年から2010年にかけて、104か所の測候所が自動化・無人化され、特別地域気象観測所等へ移行しました。この際、八丈島と潮岬では、高層気象観測（ラジオゾンデ放出）が引き続き行われました。根室と米子で行っていた高層気象観測は、2010年に釧路と松江に移転しました。室戸岬では、気象レーダー施設が併設され、存続しています。

特別地域気象観測所では、気圧、気温、湿度、風向、風速、降水量、積雪の深さ、雲、視程、天気、日照時間など、一般のアメダスよりも詳細な観測が行われます。

移行地点一覧

以下に、特別地域気象観測所へ移行した主な地点を年度ごとに示します。

1997年：日光、諏訪、伊良湖、上野、四日市
1998年：むつ、新庄、白河、秩父、伏木
1999年：小樽、羽幌、広尾
2000年：平戸、人吉、延岡、都城、阿久根
2001年：萩、剣山、多度津、宿毛、飯塚、佐世保、日田、伊吹山
2002年：津山、呉、福山、牛深、名護、西表島
2003年：石巻、三島、姫路、洲本、境、河口湖、石廊崎、網代、油津、枕崎
2004年：苫小牧、雄武、北見枝幸、深浦、久米島
2005年：敦賀、高山、浜松、宇和島、雲仙岳
2006年：岩見沢、倶知安、大船渡、館山、飯田
2007年：江差、紋別、八戸、宮古、勝浦、高田、相川、松本、尾鷲、豊岡、浜田、清水、種子島
2008年：寿都、留萌、小名浜、富士山、米子、西郷、室戸岬、屋久島、沖永良部、与那国島
2009年：浦河、酒田、大島、三宅島、八丈島、軽井沢、潮岬、厳原、福江、阿蘇山
2010年：根室、若松、千葉、御前崎、輪島、山口

廃止された測候所

森測候所（北海道）は、北海道駒ヶ岳の火山観測を目的に設置されましたが、札幌管区気象台に火山監視・情報センターが設置され、遠隔監視となったため、2002年に廃止されました。

阿蘇山特別地域気象観測所（熊本県）は、阿蘇山の火山及び地震活動を目的として設置されましたが、2017年に観測が困難となり、南阿蘇村に設置した南阿蘇地域気象観測所に業務が移行されました。

移行による影響

特別地域気象観測所に移行した地点では、雷の観測が廃止されているほか、西日本の多くの地点では積雪の観測が廃止されています。

旧測候所施設のその後

観測施設としての歴史的価値や建築的意義などから、建物が保存され、資料館等になっている旧測候所もあります。

旧伏木測候所（富山県高岡市）：庁舎と測風塔が登録有形文化財。高岡市伏木気象資料館として公開。
旧飯田測候所（長野県飯田市）：洋風建築の庁舎が登録有形文化財として登録、一般公開。
旧三島測候所（静岡県三島市）：庁舎が登録有形文化財として登録、一般公開。エコセンターとして環境学習の拠点。
旧高山測候所（岐阜県高山市）：明治初期の庁舎が登録有形文化財。飛騨民俗村山岳資料館として公開。

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