中原和郎

中原 和郎（なかはら わろう）

中原和郎は、1896年1月16日に鳥取県河村郡（現・湯梨浜町）で生まれ、1976年1月21日に亡くなった日本の生化学者です。彼は医学博士として日本学士院の一員であり、特にがんに関する生化学的研究で広く知られています。

学歴と研究経歴

1918年にコーネル大学を卒業した後、彼はロックフェラー医学研究所、理化学研究所、東京大学伝染病研究所などで研究に従事しました。特に1923年には京都大学から医学博士の学位を取得し、学位論文では「淋巴球に関する研究」が評価されました。彼の研究は、細胞生物学や生化学の領域において重要な貢献を果たしました。

がん研究と職業活動

1948年からは財団法人癌研究会の所長を務め、その後1962年には国立がんセンター研究所の初代所長に就任しました。彼の指導の下、研究所は多くの進展を遂げ、特にがん細胞からトキソホルモンを抽出するという革新的な成果を上げました。これにより、彼の名声はさらに高まり、1965年には福岡文子との共同研究で学士院賞を受賞しています。また、1974年からは国立がんセンターの総長としても活動しました。

多彩な業績

生化学の研究者として知られる一方で、彼は外国産蝶のコレクションや日本産蝶の分類研究にも力を入れており、晩年には自らの収集した蝶類を国立科学博物館に寄贈しました。これにより、彼は生物学的な研究の分野でも重要な役割を果たしました。彼のコレクションは貴重な資料として、多くの研究者や愛好者に利用されています。

著作

中原和郎は多くの著書も残しており、主な著書として以下のものがあります。

• - 『ビタミンの話』（1948年、主婦之友社）
• - 『癌』（1955年、岩波新書）

さらに、彼は他の研究者との共同著作も数多く、特に次のような作品が知られています。

• - 『癌研究の進歩』（1956年、吉田富三共監修、医学書院）
• - 『世界の蝶 原色図鑑』（1958年、黒沢良彦共著、北隆館）
• - 『癌の生化学』（1960年、編、医学書院）
• - 『細胞生物学』（1967年、藤井隆、三浦義彰共編、朝倉書店）

彼の著作や研究成果は、医学や生物学の分野において高く評価され、後の世代への影響を与え続けています。

最後の年

中原は1976年に心筋梗塞によりこの世を去りました。その業績は、今なお多くの研究者によって引き継がれ、がん研究や生化学の進展に寄与し続けています。

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