中原囲い

中原囲い：現代将棋を彩る革新的囲い

中原囲いは、将棋の囲いの一種であり、その名のとおり、中原誠名人が考案したことで知られています。1996年にはこの戦法が評価され、中原誠名人は将棋界の最高峰の賞である升田幸三賞を受賞しました。

中原囲いの誕生と変遷

中原囲いは、元々は中原流相掛かりにおける囲いとして誕生しました。初期は非常にシンプルなものでしたが、中原誠名人はその配置を改良し、現代将棋において強力な戦法へと昇華させました。

その起源は諸説ありますが、1990年にはすでに使用されていたと中原自身も語っており、1992年に行われた中原対青野戦が初公開局ともされています。しかし、▲5九金・▲6九玉という基本的な構え自体は、古くから伝わる相掛かりの囲いに見られるもので、中原誠名人は師匠の師匠である金易二郎氏から学んだ技術を現代に適用したと言えるでしょう。

当初は先手番で使用されることが多かった中原囲いですが、その後、後手番でも採用されるようになり、特に横歩取り8五飛戦法と組み合わせることで大きな威力を発揮するようになりました。現在では、後手番で△2二銀・△3二金・△4一玉・△5一金・△6二銀と組まれることが一般的です。

一見すると貧弱に見えるこの囲いですが、陣形が低く、左右どちらから攻められても玉の逃げ道が広いという特徴があります。中原誠名人自身も、中住まいほどの弾力性はないものの、一段金であるため飛車の打ち込みや桂馬の攻めに強いと評しています。また、その単純さゆえに真似されやすく、広く普及した要因の一つであるとも考えられます。

近年では、玉の堅さを重視する観点から、先手番の横歩取りでも中原囲いが研究されています。さらに、相振り飛車では左右を反転させた右中原囲いも稀に見られます。

中原囲いの特徴と戦い方

先手番の中原囲いは、8七に歩を受けずに▲9六歩から▲7七桂と鋭く戦うのが特徴です。持ち歩が2枚あるため、攻撃のバリエーションも豊富です。

攻撃方法の一例として、▲9五歩から始まる攻撃があります。△同歩と取られた場合は▲9二歩と打ち込み、△同飛ならば▲8六飛と反撃します。その後も、△8二歩▲9三歩△同桂▲8一角、△9二同香ならば▲9一角△8三飛▲8五歩と、▲8六飛を狙う展開が考えられます。

他にも、角交換せずに▲7七桂と跳ね、▲2五飛から8五飛と飛車をぶつける攻撃や、▲3六歩から▲3七桂と構え、▲3五歩に△同歩ならば▲1五歩と1、3筋を絡めて攻めるなど、様々な指し方が研究されています。

まとめ

中原囲いは、そのシンプルさと柔軟性を兼ね備えた、現代将棋においても重要な戦法です。その誕生から発展、そして様々な戦術的応用まで、将棋史に大きな足跡を残した囲いと言えるでしょう。今後も、中原囲いをめぐる研究はさらに深まり、将棋界を盛り上げていくことでしょう。

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