中国問題に関する連邦議会・行政府委員会

中国問題に関する連邦議会・行政府委員会（CECC）：中国の人権と法の支配を監視する機関

中国問題に関する連邦議会・行政府委員会（CECC）は、米国議会と行政府の高官から構成される常設の合同委員会です。2000年、米国の連邦法「中華人民共和国のための通常貿易関係」に基づいて設立されました。この法律は「2000年米中関係法」とも呼ばれ、CECCの活動の法的根拠となっています。

CECCの主要な役割

CECCの主な任務は、中国における人権状況と法の支配の状況を綿密に監視し、その結果を年次報告書として大統領と議会に提出することです。この報告書には、以下の項目に関する詳細な分析が含まれています。

人権状況の監視: 国際人権規約や世界人権宣言で定められた人権が中国でどの程度尊重されているか、また、人権侵害がどのような形で発生しているかを調査します。特に、政治犯や宗教的迫害の犠牲者への注目が高く、そのリストを作成・維持しています。
法の支配の監視: 中国の司法制度や法執行機関の機能、独立性、透明性などを評価し、法の支配がどの程度確立されているかを分析します。
米国と中国間の協力の促進: 人権状況の改善や法の支配の強化に向けた米国政府と民間組織の取り組みを支援・促進し、両国間の意見交換や協力関係の拡大を目指します。
関連機関との連携: 国務省のチベット問題特別調整官や、様々な非政府組織（NGO）と連携し、情報を収集・分析します。

CECCの成果物：年次報告書

CECCは毎年、中国の人権状況と法の支配に関する詳細な年次報告書を発行しています。報告書は、通常秋頃に大統領と議会に提出され、一般にも公開されます。報告書は、人権状況に関する包括的な分析に加え、チベットや香港、マカオといった地域における特定の問題にも焦点を当てています。

2020年版報告書の概要

2020年版報告書は、2019年7月1日から2020年7月1日までの期間を対象としています。「人権」に関する章では、表現の自由、勤労の権利、刑事司法、信教の自由、民族的マイノリティの権利、人口管理、女性の地位、人身売買など、多岐にわたる問題を取り上げています。「法の支配」に関する章では、市民社会、民主的統治、司法へのアクセスなどが分析されています。さらに、新疆ウイグル自治区、チベット、香港・マカオの状況に関する章も設けられています。

新疆ウイグル自治区に関する報告書の重大所見

2020年版報告書は、新疆ウイグル自治区における人権侵害について深刻な懸念を示しています。特に、大量のウイグル族を含むイスラム教徒の少数民族が、強制収容所に収容されていること、強制労働が行われていること、子供たちが家族から引き離されて寄宿学校に送られていることなどが指摘されています。報告書は、これらの行為が「人道に対する罪」、ひいては「ジェノサイド」に当たる可能性があると主張しています。

香港・マカオに関する報告書の重大所見

香港においては、「一国二制度」の原則が侵害され、香港国家安全維持法の施行により、人権と法の支配が脅かされていると報告書は指摘しています。2019年の抗議活動に対する警察の対応についても、過剰な武力行使や不当逮捕などが問題視されています。

政治的収監者データベース

CECCは、「政治的収監者データベース」を運営し、中国で政治的または宗教的な理由で投獄されている人々の情報を収集・公開しています。このデータベースには、2019年10月10日時点で9,975件の情報が含まれていました。

CECCの役割と重要性

CECCは、中国の人権状況と法の支配の状況を監視し、その情報を米国政府と国民に提供することにより、中国政府に対する圧力となる役割を担っています。CECCの活動は、米国における中国政策の策定に重要な影響を与えています。今後とも、CECCの活動は、中国の人権状況の改善に貢献していくことが期待されます。

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