中国春蘭

中国春蘭（ちゅうごくしゅんらん）

中国春蘭は、東洋ランの一種類であり、中国特有のシュンランに由来します。一般には「一茎一花」と称されることがあり、日本のシュンランと近縁ですが、独自の分類で「シナシュンラン（Cymbidium forrestii Rolfe）」として別種に扱われることもあります。この植物は地生ランで、春に花茎を伸ばし、その頂部に一輪の花を咲かせる特性を持っています。花の形状はシュンランと似ていますが、香りがより豊かで、葉の質感も日本産のシュンランより滑らかであることが多く見受けられます。

古代中国において、ランは高貴な花とされ、その栽培と観賞が行われてきました。特に清朝時代には、野生の株から魅力的な花型のものを選別して命名することが一般化し、それに基づいて観賞用に栽培されるようになりました。この過程で、中国の春蘭は日本に輸入され、東洋ランという独特の園芸ジャンルを築くことになりました。

中国春蘭の優れた花形を見極める基準が次第に確立され、その形質を表す用語も多く生み出されました。後に、日本でも日本春蘭や寒蘭が同様に観賞されるようになり、これらの基準や用語は中国春蘭のものを多く流用しています。

中国春蘭には三つの主要な花形が認められています。うち二弁を持つ「棒心」と呼ばれる部分がありますが、そこが細くなるのが一般的です。しかし、先端が固まり肉厚になるものは「兜」と称されます。兜を伴った花弁の幅が広いものは「梅弁」とされ、狭いものは「水仙弁」と呼ばれ、これらは高い評価を受ける花形として認識されています。さらに兜が無く花弁の幅が広い品は「荷花弁」とされ、これら四つのタイプが品種として承認されています。これとは別に、異常な花形のものは「奇種」、また花弁や唇弁に一切赤の斑紋が現れないものは「素心」として認識されています。

代表的な品種について説明します。
1. 梅弁: 棒心に兜があり、幅広の三弁が特徴です。三弁の先端は丸みを帯びており、丸い肩や三角に整った形で、見た目が梅の花に似ています。代表品種には「宋梅」や「西神梅」があります。
2. 荷花弁: 花弁が広く、兜を持たないものです。花弁は楕円形で、全体として蓮の花に似た姿が望まれます。品種には「大富貴」などがあります。
3. 水仙弁: 梅弁に似ているが、花弁が細長い形態。代表的な品種には「竜字」や「翠一品」があります。
4. 素心: 赤い斑紋が見られない品種。特有のはっきりした外観を持ち、優れた品種には「楊氏素」がある。
5. 奇種: 花の型が変わったもので、珍しい例として八重咲きの「余胡蝶」や、花が背中合わせになる「四喜蝶」が存在します。

また、葉の模様に関しては、一般的に中国春蘭では見られませんが、日本で見られる「軍旗」という縞葉の品種が高い評価を得ています。

中国春蘭は、古来より美しさや優雅さから多くの愛好者に支持され、園芸界で重要な位置を占めています。

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