中国貯蓄銀行

株式会社中国貯蓄銀行の歴史

株式会社中国貯蓄銀行は、1897年の設立から長い歴史を持つ貯蓄銀行です。初めて県内に本店を置く貯蓄銀行として、鳥取県米子市に設立されたこの銀行は、地域経済に重要な役割を果たしました。

設立の背景と初期の展開

この銀行は、1897年2月15日に設立され、同年の4月4日から営業を開始しました。資本金は当初3万円であり、初代の頭取には平井京次郎が就任しましたが、実際には米子銀行の貯金部門のような形態でありました。その後、野坂茂三郎（元米子市長の父）が頭取に就任し、銀行は次第に自立した経営へと移行していきました。

設立当初の支店は、御来屋、境、淀江にあり、さらに代理店も周辺に設置されました。1899年には預金高が2万7000円を超え、2176名もの預け人が存在しました。預け人の内訳を見ると、農業者が514名、商業者が644名、雑業者が379名を占めており、地元経済との結びつきが強いことが伺えます。

発展と変化

1911年には本店を新築し、新たな設備とともに経営基盤を確固たるものにしました。しかし、1919年には一時的に取り付け騒ぎが発生するなど、金融の不安が広がることもありました。こうした混乱を経て、1922年には中国興業銀行に改組され、貯蓄銀行部門を継承する形で (新) 中国貯蓄銀行が設立され、同年の4月に営業を再開しました。

徒然なる意味で、この改組は銀行の自立性向上と、地域金融機関としての安定を図るための重要なステップでした。

合併とその後

1928年8月、(新) 中国貯蓄銀行は、山陰貯蓄銀行と合併し、新たな経営体制へと移行しました。これにより、中国貯蓄銀行の歴史は一つの区切りを迎えましたが、その精神や地域貢献の姿勢は、合併後も引き継がれて行ったことでしょう。

役員構成と株主

設立期からの役員には、松村吉太郎、名島嘉吉郎、坂口平兵衛、野坂茂三郎らが名を連ねていました。彼らの名前は、時代を経ても多くの役員名簿に見ることができます。たとえば、明治42年の役員名簿には、頭取に野坂茂三郎、取締役には松村吉太郎や名島庄三郎が記載されており、地域金融と発展に影響を与えたことが見て取れます。

また、株主構成も重要な要素であり、名島嘉吉郎が600株を保有していたことが記録に残されています。彼の影響力が、この銀行の経営にも色濃く反映されていたことでしょう。

参考文献

本行の詳細については、商業興信所や東京興信所の編纂した役員録や要録を通じて多くの情報が得られます。また、米子商業史といった regional history の資料も役立つでしょう。

株式会社中国貯蓄銀行の歴史は、地域の金融業の発展を物語るものであり、その影響は今日にまで及んでいます。

もう一度検索