中国軍管区

中国軍管区：終戦間際の中国地方を担った陸軍組織

1945年（昭和20年）6月12日、大日本帝国陸軍広島師管区司令部は中国軍管区司令部と改称されました。中国地方（島根県、広島県、山口県、岡山県、鳥取県）を管轄する、陸軍の重要な組織として、終戦までその役割を果たしました。

中国軍管区の成立と背景

それ以前、中国地方は西部軍管区の一部でした。しかし、太平洋戦争末期の1944年（昭和19年）、大本営は帝国陸海軍作戦計画大綱を策定し、作戦の効率化を図るため軍の再編を行いました。その一環として、1945年2月1日には九州地方を担当する第16方面軍が編成され、西部軍は廃止されました。

この再編により、中国地方は第15方面軍司令部（中部軍管区司令部が兼務）の管轄下に置かれました。そして、広島師管区司令部が中国軍管区司令部と改称され、第59軍司令官が司令官を兼任することとなりました。天皇に直属し、中国地方における軍政全般を掌握する、重要な役割を担う組織となったのです。

広島城地下への移転と原子爆弾投下

戦争が激化するにつれ、中国軍管区司令部は広島城地下へ移転しました。しかし、1945年8月6日、広島市への原子爆弾投下により司令部は壊滅的な被害を受けました。この原子爆弾投下は、中国軍管区司令部のみならず、広島市全体に未曽有の被害をもたらし、多くの犠牲者を出しました。司令部要員にも甚大な被害が及んだことは言うまでもありません。

中国軍管区司令部要員

歴代司令官

藤井洋治 予備役中将：1945年6月15日～8月6日（第59軍司令官兼任）
谷寿夫 予備役中将：1945年8月12日～廃止（第59軍司令官兼任）

歴代参謀長

加治武雄 少将：1945年6月15日～7月5日
松村秀逸 少将：1945年7月5日～9月18日
* 河村参郎 中将：1945年9月18日～11月30日（第59軍参謀長兼任）

広島被爆時の司令部要員と被爆状況

司令官の藤井洋治中将は自宅で被爆し、夫人と共に亡くなりました。参謀長の松村秀逸少将は被爆後、一時避難したのち司令部に復帰して指揮を執りました。その他、多くの参謀や職員が被爆し、即死あるいは重傷を負って亡くなりました。彼らの多くは司令部庁舎内にいた際に被爆したと推測されます。被爆による死傷者の正確な数は、記録の散逸などにより不明な点も多いのが現状です。

中国軍管区の終焉

日本が終戦を迎えるにあたり、中国軍管区は廃止されました。その短い歴史は、戦争末期の激動と、原子爆弾による悲劇を象徴する存在として、日本史に刻まれています。司令部跡は、現在も当時の惨状を偲ばせる場所として残っており、平和への祈りが捧げられています。中国軍管区の研究は、戦争の悲惨さと平和の尊さを再認識する上で、重要な役割を果たすと考えられます。

参考文献

（具体的な参考文献は、必要に応じて追加してください）

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