中国長春鉄路

中国長春鉄路：歴史と役割

概要

中国長春鉄路とは、第二次世界大戦後に旧満洲国と旧関東州の地域で一時的に鉄道運営を行っていた鉄道会社である。1945年の日本の降伏後、南満洲鉄道と満洲国国有鉄道の慣習を引き継ぎ、1955年には中華人民共和国に路線を返還し解散に至った。略称は中長鉄路であり、日本では中国長春鉄道とも呼ばれることがある。

満洲における鉄道の歴史的背景

中国長春鉄路が設立される背景には、満洲における鉄道の歴史が深く関わっている。1905年の日露戦争後、日本は満洲での権益を確保するため、南満洲鉄道（満鉄）という国策会社を設立した。しかし、1922年から始まった利権回収運動や関東軍の介入によって、満洲国が樹立されることになる。「満洲事変」によって日本の影響力が強化され、1933年に満洲国政府は鉄道を国有とする法律を施行した。このように満洲の鉄道は日本の影響下にあり、特急「あじあ」といった列車が運行されていた。

ソ連の対日参戦と中国長春鉄路の設立

1945年夏、ソ連が対日参戦したことで状況は一変する。ソ連軍による満洲への侵攻により、日本の占領体制が崩壊し、南満洲鉄道が接収されることとなった。これを受け、8月14日にソ連と中華民国の間で中ソ友好同盟条約が締結され、「中国長春鉄路」に関する協定も結ばれることとなった。

この協定によって、旧満鉄や満洲国国有鉄道が引き継がれる新企業として中国長春鉄路株式会社が設立された。設立の目的は、満洲の復興と鉄道の運営の継続であった。旧満鉄の資産をそのまま使用し、ソ連と中華民国が共同で運営を行う形でスタートした。

会社の運営と治安の課題

設立当初、企業は順調に運営されていたが、国内の治安状況は極めて不安定であった。ソ連軍の駐留による混乱や内戦の不安定要因が満洲には多く存在していた。住民による暴動や治安の悪化は日常的な問題となり、満洲国政府や関東軍が崩壊した後の治安維持は容易ではなかった。また、共産党軍との緊張関係からも影響を受け、鉄道施設が破壊されることもあった。

国共内戦と終焉

1946年に入ると、国民党と共産党の間で内戦が激化し、中国長春鉄路の状況はますます厳しくなった。鉄道施設は共産党の攻撃を受け、運営も困難となった。1949年には共産党が中国全土を占領し、その結果中国長春鉄路の業務は完全に停止した。

終わりに

1950年、ソ連と中華人民共和国の間で締結された条約に基づき、経営状況が改善される期待があったが、朝鮮戦争の影響で状況は変わり、結局1955年に中国長春鉄路は解散し、中華人民共和国政府に全資産が引き渡されることとなった。かくして中国長春鉄路の歴史は終焉を迎え、満洲の鉄道の役割は新たな国家に引き継がれることになった。

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