中城御殿

中城御殿について

中城御殿（なかぐすくうどぅん）は、かつて琉球王国の王世子である中城王子が住んでいた邸宅です。この重要な建物は、中城間切（現在の中城村、北中城村、うるま市津堅島）を領地とする王世子の象徴とされ、主に話し言葉で中城御殿と呼ばれるようになりました。

概要と歴史

中城御殿の起源は、尚豊王の時代に遡ります。最初は首里城へ至る主要な道、綾門大道に面して、現在の沖縄県立首里高等学校の場所に建設されました。しかし、1870年には新たな場所に移ることが決まり、その建設が始まったのは1873年です。そして1875年には、その新しい中城御殿が完成しました。この新御殿は、広さ約3000坪に約800坪の建物を持ち、別棟も存在しました。

中城御殿は、その後、廃藩置県の時代に琉球国王の本邸となり、尚侯爵家が東京へ移住した後は、沖縄での尚家の本拠地として使われ続けました。しかし、1945年に発生した沖縄戦により、御殿は焼失し、尚家に代々伝わる貴重な宝物も多くが失われてしまいました。戦後、この場所は琉球政府立博物館、後の沖縄県立博物館の敷地となり、2007年には新しい県立博物館への移転に伴って閉館しました。

復元計画と現在

しかし、中城御殿の復元計画が進行中です。2012年には、博物館跡地に木造の復元が検討され、2024年には首里城復興推進会議で具体的な取り組みが発表されました。2024年11月2日には、復元工事の起工式が行われる予定で、2026年には完成・公開される見通しとなっています。

行方不明の宝物

中城御殿には多くの尚家伝来の貴重な宝物が存在しましたが、その多くは戦時中に地面に隠されていました。しかし戦後は、軍港で働いていたカール・スタンフェルト中佐などによって略奪され、アメリカへ持ち出されてしまいました。これにより、『おもろさうし』や琉球国惣絵図といった貴重な文化財の一部は発見・返還されましたが、多くのアイテムは現在も行方不明です。

特に目を引くのは、1977年にスタンフェルトの家族によってオークションに出された約200点の宝物です。これに含まれている王冠や国王装束、肖像画などが、未だ見つかっていません。また、2000年の沖縄サミットの際には、盗難品としてFBIのリストに登録されたこともあります。

2024年3月には、戦争中にアメリカで発見された22点の文化財が沖縄県に戻されることが発表され、御後絵と呼ばれる肖像画が含まれていることが注目されています。

結論

中城御殿は、琉球王国の歴史と文化が詰まった重要な場所であり、復元を通じてその歴史を未来へと継承していくことが期待されています。

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