中央アジア協力機構

中央アジア協力機構（OCAC）の歴史と概要

中央アジア協力機構（OCAC、Organization of Central Asian Cooperation）は、かつて中央アジア地域を中心に活動していた国際機関です。1991年の旧ソ連崩壊後、中央アジア諸国の連携強化を目的として設立されました。その歴史は、幾度かの組織改編を経て、最終的にユーラシア経済共同体（EAEC）への統合という形で幕を閉じました。

OCACの前身：中央アジア連邦（CAC）から中央アジア経済協力（CAEC）へ

OCACの起源は、1991年にカザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンの5カ国によって設立された中央アジア連邦（CAC、Central Asian Commonwealth）にあります。しかし、CACは設立後まもなく、加盟国間の利害対立や政治的状況の変化により、その枠組みを維持することが困難になりました。

1994年にはタジキスタンとトルクメニスタンが脱退し、残る3カ国で中央アジア経済連合（CAEU、Central Asian Economic Union）が結成されました。その後、1998年にタジキスタンがCAEUに復帰し、組織名称は中央アジア経済協力（CAEC、Central Asian Economic Cooperation）に変更されました。

OCACの設立と発展：ロシアの加盟とEAECとの統合

CAECは、中央アジア地域における経済協力の促進を目指して活動を続けましたが、より広範な協力体制構築の必要性が高まりました。その結果、2002年2月28日、カザフスタンのアルマトイで創設条約が調印され、組織名称は中央アジア協力機構（OCAC）に変更されました。

OCACは、設立当初は中央アジア5カ国に加え、ロシアも加盟を表明しました。2004年5月28日にはロシアが正式に加盟し、OCACは中央アジア地域を超えた国際機関へと発展しました。しかし、この発展は長くは続きませんでした。

ウズベキスタンは、2005年10月にユーラシア経済共同体（EAEC）への加盟を申請し、2006年1月25日に加盟が実現しました。ウズベキスタンはOCACの中核をなす加盟国であったため、このEAEC加盟はOCACの活動を事実上停止させる結果となりました。その後、OCACはEAECに統合され、解体したと見なされています。

OCACの加盟国とオブザーバー国

OCACの正加盟国は、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、ロシア、タジキスタン、ウズベキスタンの6カ国でした。また、アルメニア、モルドバ、ウクライナがオブザーバー国として参加していました。これらの国々は、OCACを通じて、政治、経済、文化など様々な分野での協力関係を築いていました。しかし、OCACの解体により、これらの協力関係は新たな枠組みの中で再構築されることになりました。

OCACの意義と歴史的評価

OCACは、その存続期間こそ短かったものの、中央アジア地域における多国間協力の促進に貢献しました。特に、ロシアの加盟は、OCACの地域的な影響力を拡大する上で重要な役割を果たしました。しかし、ウズベキスタンのEAEC加盟という決定的な出来事により、OCACは短期間でその活動を終了しました。

OCACの歴史は、中央アジア地域の政治・経済状況の複雑さを反映しており、国際機関の設立と運営における課題を示唆する事例として、今後も研究・考察されるべき重要な歴史的出来事と言えるでしょう。OCACの経験は、今日の国際協力のあり方について、様々な示唆を与えてくれるでしょう。

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