中密度繊維板

中密度繊維板（MDF）とは

中密度繊維板（MDF）は、木質繊維を主原料とするファイバーボードの一種で、英語の「medium-density fiberboard」の頭文字をとってMDFと略称されます。JIS規格では、木材などの植物繊維を原料とし、ドライプロセスで製造される繊維板のうち、密度が0.35g/cm3以上のものを指します。日本では中質繊維板とも呼ばれています。

MDFの製造方法

MDFは、木材チップを蒸煮・解繊したものを原料としています。この繊維状になった木材に、接着剤となる合成樹脂を加えて、板状に熱圧成型することで製造されます。同じ木材チップを原料とするパーティクルボードやOSBと比較して、構成要素が非常に小さく、表面だけでなく木口部分も滑らかであることが特徴です。

MDFの特性

MDFは、木材のように軽量で加工性に優れている一方、木材特有の反りや乾燥割れなどの癖が少なく、均質な材料です。また、比較的安価に入手できることも大きなメリットです。しかし、木材やパーティクルボードに比べると、裁断時に粉状になるまで細かく粉砕されるため、木材が本来持っていた抵抗力が失われてしまいます。そのため、水や湿気に弱く、表面処理を行わないとカビが発生しやすいという欠点があります。

ただし、MDFは、接着剤の種類、木材チップの樹種、密度の組み合わせによって、さまざまな特性を持たせることが可能です。リサイクル素材を用いた安価な製品から、高い耐水性や防蟻性を備え、木造住宅の耐力壁として利用できる強度を持つ製品まで、幅広いバリエーションが存在します。

MDFの材料

MDFの主な樹種としては、ラワン、ラジアータパイン、カラマツ、スギなどが挙げられます。また、リサイクル素材も利用されます。接着剤には、ユリア系接着剤、メラミンユリア、イソシアネート系などがあり、耐水性を持たせることも可能です。

MDFの用途

MDFは、構造材としての強度を必要としない、厚みだけが要求される用途で多く利用されています。具体的には、家具の扉、側板、背板、住宅設備機器の扉、カーテンボックスなどの造作材、スピーカーのキャビネット、カラーボックスなどが挙げられます。これらの用途では、断熱性、遮音性、重量などが求められます。

その他の繊維板

MDFよりも低密度の繊維板はインシュレーションボード、高密度のものはハードボードと呼ばれます。JIS規格では、密度だけでなく製造方法も区別の条件としています。

参考情報

日本[繊維]]板工業会: [https://www.jfpma.or.jp/

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