ラジアータパイン

ラジアータパイン（Pinus radiata）の詳細解説

ラジアータパインは、マツ科マツ属に属する常緑針葉樹であり、モントレーマツという名でも知られています。原産地は非常に限られていますが、その成長の早さから世界中で植林されており、木材資源として重要な役割を果たしています。

分類と名前

マツ科マツ属に分類されるラジアータパインには、以下の2つの変種が認められています。

Pinus radiata var. radiata (基変種)
Pinus radiata var. bianta

基変種の中でも、産地によって形態や成長に違いが見られることが研究で明らかになっています。特にCambriaの個体群は、他の2つの生息地とは異なる傾向を示しています。

学名の種小名「radiata」は、毬果の鱗片が放射状に並んでいることに由来します。英名の「Monterey Pine」は、カリフォルニア州のモントレー半島に由来します。日本では、「モントレーマツ」が標準和名ですが、「ラジアータマツ」「ラジアータパイン」と呼ばれることもあります。また、輸入先であるニュージーランドやチリにちなんで、「ニュージーランドマツ」「チリーマツ」と呼ばれることもあります。

分布

ラジアータパインの自生地は、非常に限られています。

基変種 (P. radiata var. radiata): アメリカ合衆国カリフォルニア州のセントラルコーストにある3つの隔絶された地域（Ano Nuevo、Monterey、Cambria）
変種 (P. radiata var. bianta): グアダルーペ島、セドロス島

これらの地域は、太平洋の寒流の影響を受け、湿度が高く、気温が低いという共通の気候条件を持っています。特に霧が発生しやすく、ラジアータパインは霧から水分を吸収して成長しています。

生育地の土壌は変化に富んでおり、頁岩、砂岩、石灰岩などが見られます。一般的に丘のような地形や緩やかな斜面を好み、北斜面に多く分布しています。

形態

樹高は10〜40m程度で、条件によって大きく変動します。基変種は20〜30mになることが多いです。胸高直径は最大で120cmを超えることもあります。

枝は枯れても幹から離れにくく、枯れ枝を多く付けたままとなります。密集地では枝が出にくく、幹がまっすぐに伸びます。樹皮は鱗状に大きく裂けます。

針葉は基変種では8〜15cmのものが3本束生し、変種biantaでは2本束生します。

生活環

開花期は晩冬から早春で、雌雄同株です。球果は2年目の秋に熟し、翌年の早春に種子を散布します。球果は熟しても枝から落ちにくく、火災によって開いて種子を散布することがあります。

火災はラジアータパインの更新にとって最高の条件となります。火災によって競合する植生が一時的に排除され、灰が栄養となるため、発芽率が向上します。

発芽した実生は急速に成長し、1年で30〜50cmに達することがあります。寿命は比較的短く、80〜100年で最大サイズになることが多いです。

生態

ラジアータパインは、他の植物と混生し、上層木または下層木として存在します。中程度の耐陰性を持ち、稚樹の時は耐陰性が高いですが、成長するにつれて低くなります。

ヤドリギの一種が寄生することがあります。また、火災がない場合は、より高く成長するベイマツなどが優勢になることがあります。

動物との関係

多くの昆虫がラジアータパインの葉や形成層を餌として利用します。ノクチリオキバチは、マツに寄生して枯死させることもあります。

鳥類や小型哺乳類は、ラジアータパインの種子を重要な食料源としています。グアダルーペ島では、野生化したヤギが実生を食べてしまい、個体数が減少しています。

微生物との関係

ラジアータパインは、他のマツと同様に菌根を形成し、共生関係を築いています。ショウロやホンショウロなどの菌根菌は、マツの成長を促進します。

一方で、マツノネクチタケやナラタケ類などの病原菌による被害も発生しています。

人間との関係

ラジアータパインの木材は、加工性や乾燥性に優れていますが、耐久性は低いとされています。そのため、一般的には薬剤処理を施して、建築用材や合板、木造ボートなどに利用されます。また、製紙原料やパーティクルボードの原料としても利用されます。

ニュージーランドやチリなどでは、ラジアータパインの植林が盛んに行われており、日本にも多く輸入されています。

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