中山公男

中山公男：日本の西洋美術史を彩った巨匠

中山公男（1927年1月3日-2008年2月21日）は、日本の西洋美術史研究において重要な役割を果たした美術史家であり、美術評論家でした。大阪市に生まれ、旧制新潟高等学校では後に著名な作家となる丸谷才一氏と友人関係を築きました。

東京大学文学部美学美術史学科卒業後、同大学院特別研究生として研鑽を積みます。その後、女子美術大学や多摩美術大学で講師を務めた後、日本大学助教授を経て、1959年には国立西洋美術館主任研究官に就任。国立西洋美術館では、西洋美術に関する深い知識と洞察力を活かし、日本の美術界の発展に貢献しました。

1963年には文部省在外研修員としてヨーロッパに渡り、現地での研究活動に没頭。1968年には万国博覧会参事、西洋美術館学芸課長を歴任し、西洋美術の専門家として広く知られるようになりました。1971年には国立西洋美術館を退官。

退官後もその活躍は続き、1986年から2005年まで群馬県立近代美術館館長を務め、日本の美術館運営にも大きく貢献しました。1987年には筑波大学教授に就任。1990年に退官した後も、明治学院大学教授として後進の育成に力を注ぎ、1997年に退職しました。

学術研究活動以外にも、美術館連絡協議会理事長（1995年-2001年）、全国美術館会議会長（1997年-2001年）、地中海学会副会長など、数々の要職を歴任し、日本の美術界全体の活性化に尽力しました。

中山氏の多岐にわたる活動は、数々の著作にも反映されています。『原始美術』、『西洋の誘惑』、『モナ・リザ 永遠の女性の謎』など、多くの著作を発表し、一般の人々にも西洋美術への理解を深める機会を提供しました。分かりやすく魅力的な文章で知られ、幅広い読者層を獲得しました。これらの著作は、現在でも美術史研究や美術鑑賞に携わる人々にとって貴重な資料となっています。

2004年には自らの半生を振り返った自伝を出版。自身の経験や考えを後世に伝えました。2008年2月21日、肺気腫のため81歳で永眠。

中山氏が生涯にわたって収集した美術図書約3000冊は、公益法人吉野石膏美術振興財団内に「中山美術文庫」として保存され、多くの人々に活用されています。この文庫は、中山氏の西洋美術への情熱と、日本の美術文化への貢献を象徴する貴重な遺産となっています。中山公男氏の功績は、日本の美術史に大きな足跡を残し、今もなお多くの研究者や美術愛好家たちに影響を与え続けています。彼の業績は、日本の美術文化の発展に大きく貢献したと言えるでしょう。

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