肺気腫

肺気腫とは

肺気腫（はいきしゅ、Pulmonary emphysema）は、主に中年以降の男性に発症することが多い、慢性的な呼吸器疾患の一つです。この病気は、肺胞壁の破壊とそれに伴う異常な空気の滞留を特徴とし、気道の閉塞を引き起こします。肺気腫は、慢性閉塞性肺疾患（COPD）の一部として位置づけられており、特に重度の場合、呼吸機能に深刻な影響を与えます。

原因

肺気腫の主な原因にはいくつかの要因があります。特に、

• - 加齢: 中年以降に多く発症し、年齢が進むにつれてリスクが増加します。
• - 過度の喫煙: 喫煙は肺気腫の最も重要なリスク要因であり、特に長期間にわたる喫煙が影響します。
• - 性別: 男性が女性よりも約2.5倍高い割合で発症します。
• - 環境要因: 大気汚染や有毒ガス、例えばカドミウムなども関与していると考えられています。
• - 急減圧: 特定の条件下で急激に気圧が下がることも影響を与えています。
• - 慢性気管支炎との関連: この疾患は慢性気管支炎と併発することが多いです。

症状

肺気腫の症状は、徐々に進行し、主に以下のような特徴があります:

• - 主な症状: 咳、痰、運動時の息切れ、喘鳴、動悸、及び浮腫などが一般的です。
• - 身体所見: 進行した場合、呼吸困難やチアノーゼが見られ、不安感や意識障害が併発するケースもあります。聴診ではラ音や鼓音が確認でき、視診ではビア樽状胸郭やばち指が観察されます。また、気管の短縮や胸鎖乳突筋の肥大も見られることがあります。
• - 栄養状態の悪化: 症状が進行すると、嚥下障害や食欲不振が生じ、体重が減少することもあります。重症化すると、日常生活に支障をきたすことがあり、寝たきりの状態になることもあります。

検査

肺気腫を診断するための検査は次のように行われます:

• - 胸部X線検査: ビア樽状胸郭や肺の過膨張、肺胞壁の破壊を示す所見が得られます。
• - 気管支造影検査: 肺胞の破壊像や末梢気管支の拡張が確認されます。
• - 呼吸機能検査: 1秒量や1秒率の低下、残気量の増加などが見られ、多くの場合、動脈血の酸素分圧の低下を伴います。
• - 胸部CT: 肺野に数mm大の気腫の病変が多数見られます。

治療

肺気腫の治療は対症療法が中心となりますが、以下のようなアプローチが重要です:

• - 原因の除去（禁煙や地域・職業的な要因の改善）
• - 気道の感染予防と治療（鎮咳・去痰薬など）
• - 気管支拡張剤による気道の緩和
• - インターベンショナルな呼吸器治療
• - 栄養補助（経口栄養法や点滴での水分・栄養補給）
• - 重度の場合は生体肺移植も考慮されます。

治療がうまくいかない場合、進行した肺気腫は患者の生活の質に大きな影響を与えるため、専門医の適切な医療が求められます。肺気腫に対する理解が深まることで、適切な早期発見や治療の選択肢が増え、患者の生活が楽になります。

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