中山手カトリック教会

中山手カトリック教会：神戸の地に根付いた信仰の歴史

1870年、神戸の居留地に設立された中山手カトリック教会は、神戸におけるカトリック布教の歴史を語る上で欠かせない存在でした。元々は現在の神戸大丸付近に建てられ、フランス人宣教師ピエール・ムニクウ神父らによって、日本の開国後まもない時代に、神戸の地にキリスト教の灯を灯しました。

以来、幾多の困難を乗り越え、教会は発展を遂げます。老朽化に伴い、1923年には現在地に移転。当時、神戸最大の聖堂として地域の信仰の中心地として発展しました。しかし、第二次世界大戦中の空襲により全焼。その際、当時75歳だった司祭P.ファージュ神父は、焼夷弾を消し止めようとして重傷を負い、教会と共に生涯を終えました。

戦後、教会は復興。1950年に再建され、1956年にはゴシック様式を基調とした聖堂へと修復されました。1966年には、20世紀を代表するステンドグラス作家ガブリエル・ロワールによる、聖書の物語を表現した美しいステンドグラスが設置されました。厚いガラスを用いた「ダル・ド・ベール」という技法で作られたこのステンドグラスは、阪神大震災の際にも奇跡的に破損を免れたのです。

しかし、1995年の阪神淡路大震災により、聖堂は半壊、司祭館は全壊という甚大な被害を受けます。その結果、1998年に聖堂の解体工事が行われ、1999年には下山手カトリック教会、灘教会と統合され、カトリック神戸中央教会として新たな歴史を歩み始めました。2004年には、震災からの復興を象徴するかのように、現在のカトリック神戸中央教会の聖堂が建てられました。

中山手カトリック教会は、単なる教会施設以上の存在でした。長きに渡り、神戸の地域社会に貢献し、多くの人の信仰生活を支えてきました。また、教会には、あけの星幼稚園が併設されており、地域の子どもたちの教育にも貢献していたと言えるでしょう。

教会の歴史を振り返ることで、そこに込められた人々の信仰、そして震災を乗り越えようとする力強さを感じることができます。その歴史は、今なお、神戸の地に深く刻まれています。教会の建築様式やステンドグラス、そしてそこにまつわる物語は、日本のカトリック教会史、ひいては神戸の歴史を語る上で、重要な要素となっているのです。

参考文献

* 『兵庫県大百科事典 下巻』神戸新聞出版センター、1983年。ISBN 978-4875211006。

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