中山星香

中山 星香（なかやま せいか）

日本の漫画家。1954年（昭和29年）3月6日、岡山県に生まれ、倉敷市で育ちました。現在は東京都練馬区を拠点に活動しています。血液型はA型。ペンネームはご実家が営んでいた「中山青果」に由来するとされています。日本における少女向けファンタジーコミックというジャンルを切り拓き、その第一人者として高く評価されています。公益社団法人日本漫画家協会および、漫画家団体「ぐるーぷANTI」に所属しています。

経歴

岡山県倉敷市で少年時代を過ごし、小学生の頃から漫画家である兄、中山蛙氏から漫画の描き方を学んでいました。岡山県立倉敷青陵高等学校を卒業後、上京。飯塚よし照主宰の「猪まんがスタジオ」に入社します。プロデビュー前のこの時期に、スタジオが手掛けていた通信教育「現代ボールペン習字講座」の広告漫画を、「矢吹れい子」名義で担当。これが広く知られる初代『日ペンの美子ちゃん』であり、1972年（昭和47年）から1977年（昭和52年）にかけて執筆しました。1975年には「猪まんがスタジオ」から独立し、和田慎二らの同人誌「あぴいる」に参加します。

プロ漫画家としてのデビューは1975年（昭和50年）、旺文社の『高二時代』に掲載された「窓からこんにちわ」でした。その後、『りぼん』や『花とゆめ』といった少女漫画誌への投稿を続け、秋田書店の『月刊プリンセス』の漫画スクールに作品を送ったことが編集者の目に留まります。これを機にショートコメディの執筆を勧められ、24ページの作品を完成させました。この作品『ヤーケウッソ物語』が、1977年（昭和52年）に秋田書店『別冊ビバプリンセス 4月25日春季号』に掲載され、本格的なデビューを果たします。

デビュー当初、日本の少女漫画界では「ファンタジー」というジャンルへの理解がまだ十分に浸透していませんでした。中山氏が温めていたハイ・ファンタジーのアイデアは、当初は『ヤーケウッソ物語』や「はいどうぞ！」のようなギャグコメディ作品のキャラクターとして描かれます。その後、読者や編集者のリテラシーの向上と共に、本格的なハイ・ファンタジー作品を手掛けるようになります。北欧神話やケルト民話、J・R・R・トールキンの作品から強い影響を受けたその作風は、独自の世界観に基づいたハイ・ファンタジーという分野を少女漫画の領域で確立しました。

代表作と「三剣物語」

中山氏の最も知られる代表作は、『月刊プリンセス』にて16年以上にわたり連載された大河ファンタジー『妖精国の騎士（アルフヘイムのきし）』です（後に『プリンセスGOLD』へ掲載誌を移籍）。この作品は、氏がライフワークとして構想する壮大な「三剣物語」の第二部に位置づけられています。本編は2006年（平成18年）に完結を迎えましたが、雑誌掲載版、単行本版、文庫版でそれぞれ異なる加筆がなされており、複数の完結形態が存在します。文庫版のあとがきでは、手塚治虫の『双子の騎士』が着想のヒントになったことが明かされています。

『妖精国の騎士』本編完結後も、いくつかの伏線を回収するため、後日談となる「妖精国の騎士Ballad」シリーズが不定期で掲載されました。また、『ロビン-風の都の師弟-』、『妖精国の騎士Ballad〜金緑の谷に眠る竜〜』、そして現在連載中の『妖精国の騎士Ballad 〜継ぐ視の守護者〜』といった続編や関連作品も描かれています。構想されている「三剣物語」は全4部構成ですが、現在までに作品化されているのは主に第二部と第三部の一部です。

多くの作品に共通して登場するのが、独特の妖精国「アルフヘイム」です。ここでは様々な善悪の妖精や妖獣が暮らし、時には人間界にも現れます。また、作者の居住地をモデルにした架空世界「ネリマドール」も、異なる作品世界を結ぶ中継地点のような存在として描かれています。

受賞歴とその他の活動

2008年（平成20年）には、代表作『妖精国の騎士』が、その少女漫画としては異例の長期連載と高い完成度が評価され、第37回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞しました。

漫画作品以外にも、タニス・リーなどの海外ファンタジー小説のカバーイラストや挿絵、共著企画への参加など、多岐にわたる活動を行っています。また、「まんが甲子園」では長年にわたり審査員を務めるなど、若手育成にも関わっています。

主な作品リスト（一部）

妖精国の騎士
花冠の竜の国
魔法使いたちの休日
はるかなる光の国へ
フィアリーブルーの伝説
聖祈苑にようこそ!
月魂の騎士
（その他多数）

（情報は2023年時点のものです。）

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