中山谷遺跡

中山谷遺跡の概要

中山谷遺跡（なかざんやいせき）は、東京都小金井市中町一丁目から三丁目にかけて広がる、多層的な文化遺跡です。この遺跡は後期旧石器時代から縄文時代、さらには近世にかけての集落遺跡であり、これまでに14回の発掘調査が実施されています。特に、後期旧石器時代に関しては前半期と終末期を含む計4層の文化層が確認されています。

縄文時代の発掘調査では、特に中期において50棟以上の竪穴建物跡が見つかっており、これが市内では最大規模の集落として注目されています。また、近世の遺構としては区画溝が検出されています。この遺跡は武蔵野台地の南端にある国分寺崖線に接しており、湧水の近くに位置している点が特長です。

遺跡自体の標高は62メートルから67メートルの範囲にあり、周囲には同様に重要な遺跡が点在しています。例えば、国分寺崖線から西側には西之台遺跡、東側には栗山遺跡、南斜面には新橋遺跡、さらには野川流域の中洲に野川中洲北遺跡、対岸の野川には前原遺跡が位置しています。これらは「野川流域遺跡群」として一体を成しています。

調査の歴史

中山谷遺跡は昭和初期からその存在が知られており、1967年から1970年にかけては市誌編纂の目的で発掘調査が行われ、縄文時代中期の竪穴建物跡が12棟確認されました。その後も1973年から1974年にかけて、下水道工事や銀行寮建設に伴う調査が行われ、ここでは後期旧石器時代の4つの文化層や縄文時代中期の竪穴建物跡3棟が発見されています。

また、1981年から1983年にかけては集合住宅建設に伴う調査が行われ、こちらでも多くの竪穴建物跡が発見され、特に縄文時代中期の竪穴建物跡については22棟も見つかりました。これ以後も1987年から1988年にかけて調査が続けられ、近世の火の見櫓跡なども確認されています。

主な遺構と出土品

中山谷遺跡の特徴的な遺構としては、石器が集中して見つかった部位、炭化物の集中、竪穴建物跡、柄鏡形竪穴建物跡などが挙げられます。また、土坑や溝、火の見櫓跡も見つかっています。

出土した遺物には、ナイフ状石器、錐状石器、細石器、石鏃、打製石斧、様々な縄文土器が含まれています。特に縄文土器は勝坂式、阿玉台式、加曾利E式、称名寺式などがあり、動物形土製品も発見されています。これらの遺物は重要な考古学的な資料として、小金井市文化財センターで展示されています。

遺跡の変遷

中山谷遺跡の変遷を見ていくと、後期旧石器時代には4層の文化層が認められ、特に初頭のⅩ層からは多種多様な石器が発見されています。縄文時代中期には特に数多くの竪穴建物が立ち並び、各建物からは神津島産の黒曜石が出土しており、地域間の交易を示唆しています。

近世には小金井村の一部として、新田村落が形成され、これに関連する遺構も発見されており、現在もこの地区の歴史を知るための重要な手がかりとなっています。

出土資料の展示

小金井市内では、特に縄文時代に関する出土資料の一部が、文化財センターで展示されており、注目されています。遺跡からの出土品は、これまでの歴史を語る貴重な資料であり、さらなる研究が期待されています。

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