中山間地域

中山間地域（ちゅうさんかんちいき）

中山間地域は、日本における地域の一つで、平地の周辺から山間部にかけての広がりを持つエリアのことを指します。この地域は日本の国土面積の約70%を占めていますが、住民は全体の人口の約7分の1に過ぎず、人口密度は非常に低いのが特徴です。過疎や離島といった条件不利地域も含まれることが多く、都市部や平地部に対する相対的な位置づけがされています。一般的には、平坦な耕地が少なく、山間部への移行を見せる地域が中心となります。

概要

中山間地域は農林水産省によって設定された地域類型の一つです。これには、都市地域、平地農業地域、中間農業地域、山間農業地域の4つの区分が存在し、中山間地域は中間と山間の2つの地域を統合したものです。この用語は1989年に発表された『農業白書』で初めて使われ、現在では地域特有の課題や特性を示す重要な概念となっています。

法律上、中山間地域は食料・農業・農村基本法の第35条により「山間部及びその周辺地域、その他地理的条件が不利な地域」として規定され、特に農業が行いやすい条件とは言えません。この地域では農郷市民が「再生可能な資源を使用して生命を育む地域」として認識することもあり、これを「生命地域（バイオリージョン）」と呼ぶ動きもあります。

社会経済

中山間地域では、長い間地域運営は集落単位で実施されてきました。ここでは、共同による農作業や公共事業、生活支援などが行われ、集団としての機能が確立されてきました。しかし、近年では少子高齢化や人口流出が進行し、集落の運営機能が弱まっています。特に、地域の中心である昭和一桁世代の高齢化は、経済や社会構造の衰退に直結しています。その結果、土地所有の不透明さから「土地の空洞化」が進行し、所有地の管理が難しくなっているのも一因です。

中山間地域には豊かな生態系や伝統文化が残されており、農業はその中でも重要な役割を果たしています。田畑を適切に管理することは水害の軽減や地下水の保持にも寄与し、その多面的な機能が重要視されています。このため、地域の維持を目的とした様々な政策が展開されています。

中山間地域等直接支払制度

この制度は、農業生産活動を継続するために国や地方自治体が支援を行う制度です。2000年度から施行され、2015年度からは日本型直接支払制度の一環として位置づけられました。具体的には、地域振興立法で国が指定した傾斜のある農地に対し、集落ごとに協定を結ぶことで一定額の助成が支給されます。

また、助成金は農業生産条件の悪化によるコスト負担を軽減する側面と地域活性化のための活動支援という2つの機能を持つことが特徴です。最近では、制度が施行されてから15年が経過し、現場ではその重要性が見直される一方で、積極的な取り組みは減少しているとの懸念が発表されています。中山間地域をサポートするための政策や制度は、これからもますます重要な役割を担うことでしょう。

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