食料・農業・農村基本法

食料・農業・農村基本法について

食料・農業・農村基本法は、1999年に制定され、主に国民の生活向上や経済の健全な発展を目的としています。この法律は、農業及び農村の持つさまざまな役割を強化し、食料自給率の向上を目指すものです。これにより、農業は単に食料を生産するだけではなく、国民全体に利益をもたらす重要な分野として位置づけられました。

概要

この法律の制定に先立ち、1961年に導入された農業基本法がありました。旧法は主に農家の所得向上を目的としていましたが、新基本法は国民全体の生活の安定と向上を目指し、農業者だけでなく、一般市民を対象とした法律にシフトしました。この法律により、農業の役割は「食料の安定供給確保」と「多面的機能の発揮」に分かれ、これを実現するための持続可能な農業や農村振興の方策が定められています。また国際的な農業協定に対応する形で、日本の農業政策が見直される背景もあります。

基本計画の策定

食料・農業・農村基本法のもと、政府はおおむね5年ごとに基本計画を見直し、策定することになっています。これは旧基本法に見られる長期間の改正なしの反省を踏まえたもので、現行の農政に柔軟性を持たせる狙いがあります。これまでに、2000年、2005年、2010年、2015年、2020年の5回の基本計画が策定され、それぞれの時代の背景や課題に応じた目標が設定されています。

各基本計画の内容

2000年基本計画

初めて食料自給率の具体的な数値目標が制定され、目標は45%と設定されました。この数値は、実現可能性を考慮した上での妥当な数字とされました。

2005年基本計画

この年の計画では、農業経営の担い手を明確にし、重点的な施策が求められました。また、品目横断的政策への移行も始まりました。

2010年基本計画

民主党政権下で食料自給率目標が50%に引き上げられ、戸別所得補償制度と6次産業化が新たな政策の柱として導入されました。

2015年基本計画

食料自給率目標が再び見直され、45%（カロリーベース）、73%（生産額ベース）に設定されました。また、食料自給力指標が新たに導入され、政策の評価が行われるようになりました。

2020年基本計画

この計画では、カロリーベースの自給率目標は45%に据え置かれる一方、生産額ベースは75%に引き上げられるなど、より高い目標が設定されました。

結論

食料・農業・農村基本法は、国民全体の福祉向上に寄与するための法律として位置付けられ、農業、環境、食料の安全保障を重視した政策の枠組みを提供しています。この法律の運用によって、国内農業の持続可能な発展が期待されるとともに、世界的な農業環境の変化にも対応できる力を育んでいくことが求められています。

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