中島みち

中島みちの生涯と業績

中島みち（本名：高橋道）は、1931年2月10日に京都府京都市で生まれ、2015年10月29日に慢性呼吸不全のため東京都稲城市で亡くなった日本のノンフィクション[[作家]]です。彼女は、1948年に東京都立武蔵高等女学校を卒業後、東京女子大学英文科に進学し、1953年2月に卒業しました。

アナウンサーから作家へ

大学卒業後、中島はラジオ東京（現在のTBS）にアナウンサーとして入社し、1958年12月まで勤務しました。その後、1959年1月にラジオ東京と嘱託契約を結び、タレントアナウンサーとして活動しました。1970年には中央大学大学院法学研究科修士課程を修了しています。同年、乳がんの手術を経験したことをきっかけに、医療の質や安全に関心を抱き、作家活動を本格的に開始しました。

医療問題への取り組み

中島は、患者の立場から医療改革を訴え続けました。彼女の作品は、医療制度、安楽死、がんの告知、臓器移植、尊厳死など、生命倫理に関わる問題に焦点を当てています。特に、脳死の状態を「見えない死」と表現したことは、医療現場が直面する課題を社会に提起する上で重要な役割を果たしました。また、彼女は看護の日の発案者であり、その制定にも尽力しました。

受賞歴と社会活動

1975年には、第1回ジュニア・ノンフィクション文学賞を受賞し、1994年には、第42回菊池寛賞を受賞しました。さらに、日本医療機能評価機構評議員や日本訪問看護振興財団理事なども歴任し、医療分野での社会貢献も果たしました。

物議を醸した著作

中島は、医療関係のノンフィクションで知られていましたが、著書『日中戦争いまだ終らず マレー「虐殺」の謎』では、旧日本軍擁護の立場をとり、マレー半島における華僑虐殺事件に関する先行研究や報告に対し、虐殺数を少なく主張しました。また、日本兵による残虐行為を否定する内容も含まれていたため、物議を醸しました。この著作では、虐殺事件の生存者である蕭文虎への取材を基に記述しましたが、蕭の真意を十分に確認していなかったという指摘もされています。また、写真の誤認についても指摘されています。中島は、シンガポールの戦争資料館に掲載されている松井太久郎とされる写真が、実際には松井石根の写真であると主張しましたが、これは誤りであり、実際には資料館の写真のキャプションが誤っていたことが判明しています。

家族

夫は元TBS報道局次長の高橋照明。長男はTBS記者の高橋一世です。

主な著書

『誰も知らないあした ガン病棟の手記』（1972年）
『クワガタクワジ物語』（1974年）
『灰色の奇跡 あるガンワクチンの真実』（1978年）
『がん病棟の隣人』（1981年）
『悔いてやまず』（1982年）
『見えない死 脳死と臓器移植』（1985年）
『日中戦争いまだ終らず マレー「虐殺」の謎』（1991年）
『新々・見えない死 脳死と臓器移植』（1994年）
『「脳死時代」の生き方と死に方 臓器移植、ガン告知、尊厳死 対話』（1994年）
『奇跡のごとく 患者よ、がんと闘おう』（1999年）
『患者革命 納得の医療納得の死』（2002年）
『脳死と臓器移植法』（2000年）
『患者革命－納得の医療　納得の死』（2002年）
『がんと戦う、がんから学ぶ、がんと生きる』（2003年）
『「尊厳死」に尊厳はあるか－ある呼吸器外し事件から』（2007年）

主な翻訳

ペギー・アンダーソン『ナース ガン病棟の記録』（1981年）
バーバラ・ハットマン『コード・ブルー 緊急蘇生処置』（1984年）
ドミニク・ラピエール『愛より気高く エイズと闘う人々』（1993年）

出演番組

連続小説（1954年、TBSラジオ）
ラジオこどもコンクール（1955年、TBSラジオ）
こども音楽コンクール（1956年、TBSラジオ）
ウエスタン・ヒット・パレード（1956年、TBSラジオ）
ウエスタンのど自慢（TBSラジオ）
婦人スクール（1957年、TBSテレビ）

中島みちは、その多岐にわたる活動を通じて、医療と社会のあり方に深い影響を与えた人物でした。

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