中島正弘

中島 正弘

中島 正弘（なかじま まさひろ）氏は、1952年8月26日に兵庫県で生まれ、長年にわたり日本の国土政策、都市開発、そして国家的な復興事業に深く関わった建設官僚です。1975年に京都大学経済学部を卒業後、現在の国土交通省の前身にあたる建設省の門を叩き、官僚としてのキャリアをスタートさせました。

建設省入省後、中島氏は都市局において都市再開発に関する融資制度の専門官を務めるなど、初期段階から都市の再生や整備に関する業務に携わりました。都市計画課では企画担当の課長補佐として、都市政策の立案に参画。さらに大臣官房では文書課や人事課で専門官を務め、組織の円滑な運営や人材育成に関与しました。特に人事課では、大塚建設大臣の秘書官（事務担当）を兼務し、政務を補佐する重要な役割も担っています。

中央省庁での経験に加え、茨城県へ出向し企画部長を務めた際には、地方行政の現場で地域の振興計画策定や事業推進に尽力しました。本省に戻ってからは、建設経済局で建設業に関する重要政策を担う課長職に就き、業界の発展と適正化に向けた取り組みを推進しました。国土交通省発足後は、大臣官房参事官（人事担当）、人事課長、総合政策局政策課長といった要職を歴任。特に人事部門では、省全体の人材戦略や組織改革に深く関わった経験を持ちます。

局長級ポストとしては、河川行政を司る河川局の次長を経て、都市・地域整備局長、国土政策局長を歴任。これらの要職を通じて、日本のインフラ整備、持続可能な都市・地域の形成、そして広範な国土計画の策定に中心的な役割を果たしました。2011年9月16日には、省全体の政策立案や調整を統括する重要なポストである総合政策局長に就任しました。

2013年2月1日、中島氏は東日本大震災からの復興を国家的な使命として担う復興庁の事務次官に就任します。これは、未曽有の災害からの再生に向けた政府全体の取り組みを組織のトップとして指揮するという、極めて重責を伴うものでした。被災地のニーズに応え、関係省庁間の連携を強化し、復興事業を円滑に進めるための調整に尽力しました。

さらに、2014年1月28日には、復興庁顧問として引き続き復興に関与するとともに、内閣官房参与として政府の重要政策立案に関与。同時に、特に被害が甚大であった福島県の復興再生に特化した組織である福島復興再生総局の事務局長も兼任しました。福島復興再生総局事務局長としては、被災自治体や住民と向き合いながら、廃炉、汚染水対策、避難指示解除区域の整備、産業再生など、多岐にわたる課題の解決に向けた現場での調整や事業推進に奔走しました。これらの復興関連の職務は2016年6月21日まで務められました。

復興関連の公職を退いた後、2016年7月15日には独立行政法人都市再生機構（UR都市機構）の理事長に就任します。UR都市機構は、都市の再開発、賃貸住宅の供給・管理、公園整備、災害復興支援など、幅広い事業を通じて国民生活の向上や都市機能の活性化に貢献する組織です。理事長として、中島氏はこれらの事業を統括し、現代社会の課題に対応した持続可能なまちづくりや住環境の整備を推進しました。都市再生機構理事長は2024年3月31日まで務め、長年の公務に区切りをつけました。

長年にわたる公共部門への顕著な貢献が認められ、2024年4月30日には瑞宝重光章を受章されています。

中島正弘氏は、建設官僚として日本のインフラ整備や都市政策の根幹に関わり、特に東日本大震災からの復興という国家的な難題に対し、復興庁事務次官や福島復興再生総局事務局長としてその手腕を発揮しました。さらに都市再生機構理事長としても、日本の都市空間の質の向上に貢献するなど、そのキャリアを通じて国土と社会の発展に多大な功績を残した人物と言えます。

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