中島義信

中島 義信

日本のラグビーにおいて、選手及び監督として活躍した中島義信は、1920年11月1日に徳島県で生を受けました。その生涯は、近鉄ラグビー部の黄金時代を築き上げた功績によって、日本のラグビー史に深く刻まれています。

選手として

地元の徳島県立阿波中学校（現在の徳島県立阿波高等学校）でラグビーと出会い、その才能を育んだ後、立命館大学へと進学しました。同大学のラグビー部では選手として研鑽を積み、卒業後は当時の近鉄（現在の花園近鉄ライナーズ）ラグビー部へ入団。フッカーという最前列のポジションで活躍しました。

選手としてのキャリアにおいて、中島氏は日本代表にも選出されています。1952年に来日したオックスフォード大学との間で行われた国際親善試合のうち、テストマッチとして認められた2試合に出場し、日本代表キャップを2つ獲得しました。

監督として

選手として活躍した近鉄において、チームが1952年度の第5回全国社会人ラグビーフットボール大会への出場を逃したことを受け、その立て直しを託される形で1953年に監督に就任しました。チームの低迷期からの再建という重責を担うこととなりました。

監督として初めて臨んだ1953年度の第6回全国社会人大会では、早速チームを躍進させました。決勝では九州電力と対戦し、延長戦でも決着がつかず3対3の同点となりましたが、大会規定により両校優勝となり、近鉄に待ち望まれた全国社会人大会における初の栄冠をもたらしました。これは、近鉄が出場4回目での快挙であり、中島監督の手腕を示す鮮烈なデビューとなりました。

この初優勝を皮切りに、中島監督率いる近鉄は、当時の社会人ラグビー界を牽引する強豪へと成長を遂げました。特に、永年のライバルとなった八幡製鐵（現在の日本製鉄八幡ラグビー部）とは、全国社会人大会の決勝で幾度となく相まみえ、両チームは社会人ラグビーの二強と称されるまでになりました。両チームによる決勝での激闘は、当時のラグビーファンを熱狂させました。

中島監督の卓越した指導と戦略の下、近鉄は全国社会人大会において通算5回の優勝を飾り、その黄金時代を築き上げました。選手の育成、戦術の構築、そしてチーム全体の精神力向上に尽力し、近鉄を常にトップレベルの座に君臨させ続けました。

1967年3月25日に46歳で逝去するまで、実に長きにわたり近鉄の指揮官としてチームを率い、その揺るぎない基盤を作り上げました。その指導者としての功績は、近鉄ラグビー部のその後の発展にも大きな影響を与えています。

中島義信氏は、選手としては国際経験を持ち、監督としてはチームをゼロから強豪へと引き上げた、日本のラグビー史における重要な人物の一人と言えるでしょう。その功績は、現在まで語り継がれています。

（参考文献：日本ラグビー「名勝負伝説」、ザ・ワールドラグビー など）

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