中川紀元

中川 紀元 - 洋画家の足跡

中川 紀元（なかがわ きげん、1892年1月11日 - 1972年2月9日）は、長野県上伊那郡辰野町に生まれた洋画家で、本名は紀元次です。彼は日本の近代美術界において重要な位置を占め、多くの影響力を持った人物として知られています。

学生時代とキャリアの始まり

中川は長野県立諏訪中学校を卒業後、東京美術学校の彫刻科に入学しましたが、途中で中退。その後、太平洋画会研究所や本郷絵画研究所にて洋画の技法を学びました。特に、藤島武二からのデッサン指導や、二科会の重鎮である石井柏亭や正宗得三郎の教えを受けたことが、彼の芸術的成長に大きく寄与しました。また、1907年から1914年まで、玉川尋常小学校で図画工作の講師を務め、その中で多くの学生に影響を与えました。彼の教え子の一人には、後に著名な画家となった堀内唯生がいます。

海外での学びと受賞歴

1915年に開催された第2回二科展に初めて入選し、1919年にはフランスに渡り、ここで有名な画家マティスに弟子入りしました。1920年には「ロダンの家」などで樗牛賞を受賞し、帰国後には滞欧作7点を出品し、二科賞を獲得しました。これらの受賞歴は、彼が日本の美術界における重要な存在として認識される基盤となりました。

美術団体と教育者としての活動

1922年、中川は古賀春江や神原泰、山本行雄らと共に美術団体「アクション」を結成。また、1930年には日本画家たちとともに「六潮会」を設立しました。1933年までに二科会を脱退し、熊谷守一と共に二紀会を結成。彼は文化学院や帝国美術学校（現在の武蔵野美術大学）で教鞭を執り、1935年には多摩美術大学の教授に就任します。

その後、1964年には日本芸術院恩賜賞を受賞するなど、教育者としても多くの才能を育てました。特に、五人の息子のうちの一人である中川タマオも、画家として知られています。

著書と画集

中川紀元は、作家としても活躍しており、多くの著書や画集を執筆しました。代表的な著書には『マチスの人と作』『ピカソと立体派』、および『美術と圖畫』などがあります。これらの作品は、彼の美術観や技法、さらに西洋美術に対する理解を深める手助けとなるものであり、今なお多くの人に愛されています。

影響と評価

中川の作品は、特に大正期の新興美術運動において重要な位置を占めており、彼の創作は日本の洋画に多大な影響を与えました。彼のキャリアを通じて、様々なスタイルを追求し続けた彼は、日本美術界における重要な人物として後世に名を残しています。

もう一度検索