中座

中座：上方芸能を彩った名劇場の興亡と、その跡地

1. 道頓堀の演劇の中心地として

1661年開業の中座は、大阪市中央区道頓堀に位置し、浪花座、角座、朝日座、弁天座とともに「道頓堀五座」と呼ばれた歴史ある劇場でした。道頓堀開削後、周辺には多くの芝居小屋が建てられましたが、中座はその中でも特に重要な役割を担っていました。文化3年（1806年）の摂州大坂地図には、道頓堀五座のひとつとして記載されており、その当時からの歴史の長さが伺えます。

2. 数々の災難と再建

中座の歴史は、幾多の困難を乗り越えてきた歴史でもあります。1928年（昭和3年）の火災、1930年（昭和5年）の台風による倒壊、そして1945年（昭和20年）の大阪大空襲による全焼と、何度も壊滅的な被害を受けながらも、その度に再建されてきました。特に戦後の再建は、上方芸能界にとって大きな支えとなり、多くの著名な役者たちがその舞台に立ちました。 藤山寛美氏も松竹新喜劇の上演拠点として中座を活用し、上方芸能の隆盛に貢献しました。

3. 閉館と解体、そして事故

1999年（平成11年）、老朽化と経営難により中座は閉館。大阪府指定文化財であった破風を残して解体されました。この解体工事中に、ガス配管の切断ミスによる爆発事故が発生し、中座と周辺の建物が全焼するという大惨事となりました。幸いにも死者はいませんでしたが、この事故は、老朽化した施設の解体工事における安全管理の重要性を改めて認識させる結果となりました。 事故の原因は、1976年の改修工事時の図面誤りを確認せずに作業が行われたことによるものとされています。

4. 中座くいだおれビルの誕生と変遷

中座の跡地には、2004年、「アルゼ道頓堀ビル」（後に「中座くいだおれビル」と改称）が建設されました。パチンコ店と飲食店が入居し、かつての賑わいを彷彿とさせる商業施設として生まれ変わりました。しかし、運営会社や所有者の変更を繰り返し、現在では野村不動産マスターファンド投資法人が所有し、野村不動産コマースが運営しています。くいだおれ太郎の復活など、様々な変化を経て現在に至っています。

5. 中座の遺産

中座の奈落に祀られていた「柴右衛門狸大明神」は、解体後もビル内に祀られていましたが、後に元の洲本八幡神社に戻されました。この像は、中座の歴史と文化を象徴する存在として、現在も大切に保存されています。

6. まとめ

中座は、上方芸能の歴史を刻んだ重要な劇場でした。その歴史は、数々の困難を乗り越え、時代の変遷とともに変化を遂げながら、現在も道頓堀のランドマークとしてその存在感を示しています。中座の歴史と、その跡地に建つ中座くいだおれビルの変遷を知ることは、大阪の文化史を知る上で重要な要素となるでしょう。中座がもたらした大阪文化への貢献は、決して忘れられるべきではないでしょう。


関連項目

中村鴈治郎
片岡仁左衛門
芝右衛門狸


外部リンク

大阪道頓堀アミューズメント：中座くいだおれビル
* 中座くいだおれビル｜ポートフォリオ｜野村不動産マスターファンド投資法人

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