中期防衛力整備計画 (2019)

中期防衛力整備計画の概要と目的

中期防衛力整備計画（31中期防）は、日本国自衛隊が国防を強化するために策定された計画です。本計画は、平成31年度（2019年4月）から令和5年度（2024年3月）までを対象とし、2018年12月18日に閣議決定されました。それに先立って、従来の防衛方針である26中期防をさらに進化させ、宇宙・サイバー・電磁波を含む多様な領域での統合的な防衛力を構築することを目指しています。

計画に盛り込まれている5年間の防衛力整備にかかる予算は約27兆円で、過去最大級の額となっています。この膨大な予算は、少子高齢化や人口減少といった現状を考慮し、必要な防衛力の維持・拡充に充てられます。

方針と組織改編

本計画では、陸・海・空の統合防衛力を強化し、冷戦時代に想定されていた大規模な陸上兵力の運用を見直すことが定められています。自衛隊は、必要最小限の専門知識と技能を維持・継承しつつ、異なる状況に柔軟に対応できる能力を高めていく方針です。

陸上自衛隊の再編

陸上自衛隊では、機動性を向上させるための改革が進められています。具体的には、「機動師団」と「機動旅団」の編成を推進し、特に北海道と九州での戦車部隊の再編が行われます。また、ミサイル防衛能力の強化のため、秋田県と山口県に陸上配備型イージスシステムが配備される予定ですが、必要に応じてイージス・システムを搭載した艦艇も整備されることになっています。

南西諸島の防衛では、離島の防衛課題に対処するために、地対艦・地対空誘導弾部隊が新設されます。さらに、南西諸島に駐屯地開設のための各種施策が進められます。

海上自衛隊の強化

海上自衛隊においては、4個群からなる水上艦艇部隊の新設が計画されています。これには、ヘリコプター搭載護衛艦やイージス・システムを搭載した護衛艦が含まれ、多様な任務に対応可能な新型艦艇も保有されます。また、掃海艦艇部隊の組織改編が進み、より効果的な運用が図られる見込みです。

航空自衛隊の役割

航空自衛隊では、防空体制の強化を目的として、航空警戒管制部隊の増強が行われています。新たに宇宙領域専門の部隊も新編され、宇宙に関する技術的な防衛体制も整備されていきます。これに加えて、空中給油・輸送部隊の新設や高射群の編成見直しといった取り組みも進められています。

結論

中期防衛力整備計画は、日本の防衛環境を取り巻く状況に応じ、多次元的な防衛力を構築するための枠組みを整えるものです。この計画は、国内外の安全保障環境の変化に対応し、持続可能で効果的な国防力を確保するために不可欠なものであり、今後の日本の防衛政策において重要な役割を果たすことになるでしょう。

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