中村不二夫

中村不二夫（なかむら ふじお）

中村不二夫は、1950年生まれの日本の詩人です。神奈川県横浜市で生まれ、神奈川大学法学部を卒業後、1974年から東京都在住。恵泉女学園短期大学で非常勤講師も務めました。

詩の世界

1979年に第一詩集『ベース・ランニング』、1984年に第二詩集『ダッグ・アウト』を発表。これらの作品は、スポーツをタイトルに用いたユニークな視点と、詩的な表現が特徴です。1990年には第三詩集『Mets』で第一回日本詩人クラブ新人賞を受賞し、その才能を高く評価されました。

また、日本聖公会信徒である中村は、信仰、愛、平和といった普遍的なテーマを詩に取り入れています。『People』や『使徒』といった詩集では、現代社会における人間のあり方を問いかけました。2007年には第六詩集『コラール』で第33回地球賞を受賞し、その詩的世界はさらに深まりました。

詩論と評論

詩人としての活動に加え、中村は詩論集も多数発表しています。『山村暮鳥論』では、独自の視点から詩と詩人を捉え、その文学的な価値を明らかにしました。詩誌「柵」で連載中の『現代詩展望』では、1990年代以降の現代詩の動向を分析し、詩人たちの姿を浮き彫りにしています。

詩壇への貢献

中村は、月刊詩誌『詩と思想』の編集委員として、長年にわたり詩の革新運動を牽引してきました。日本詩人クラブでは理事長や会長を務め、詩の普及と詩人たちの交流にも尽力しています。その他、日本現代詩人会、日本文藝家協会など、多くの文学団体に所属し、日本の詩壇の発展に貢献しています。

主な著書

詩集

『ベース・ランニング』（1979年、詩学社）
『ダッグ・アウト』（1984年、詩学社）
『Mets』（1990年、土曜美術社）
『People』（1995年、火箭の会）
『アンソロジー中村不二夫』（2000年、土曜美術社出版販売）
『使徒』（2001年、土曜美術社出版販売）
『コラール』（2007年、土曜美術社出版販売）
『HOUSE（ハウス）』（2012年、土曜美術社出版販売）
『鳥のうた』（2019年、土曜美術社出版販売）

詩論集

『<彼岸>の詩学』（1992年、有精堂出版）
『詩のプライオリティ』（1993年、土曜美術社出版販売）
『山村暮鳥論』（1995年、有精堂出版）
『現代詩展望Ⅰ―1994～97―』（1998年、詩画工房）
『現代詩展望Ⅱ―世界詩の創造と条件―』（2000年、詩画工房）
『現代詩展望Ⅲ―詩と詩人の紹介―』（2002年、詩画工房）
『戦後サークル詩の系譜』（2003年、知加書房）
『現代詩展望Ⅳ―反戦詩の方法―』（2005年、詩画工房）
『現代詩展望Ⅴ―詩的言語の生成―』（2007年、詩画工房）
『現代詩展望Ⅵ―詩界展望―』（2010年、詩画工房）
『現代詩展望Ⅶ―詩人の言語空間―』（2012年、詩画工房）
『エッセイ集　詩の音』（2011年、土曜美術社出版販売）
『廃墟の詩学』（2014年、土曜美術社出版販売）
『戦後サークル詩論』（2014年、土曜美術社出版販売）
『辻井喬論』（2016年、土曜美術社出版販売）
『現代詩NOWⅠ』（2021年、土曜美術社出版販売）

共編著
川中子義勝『詩学入門』（2008年、土曜美術社出版販売）



中村不二夫は、詩人としての創造性と、詩論家としての批評性を兼ね備え、現代詩の発展に大きく貢献している人物と言えるでしょう。

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