中村亘利

中村亘利の音楽の軌跡

中村亘利（なかむら のぶとし）は、1970年生まれの日本の音楽家である。彼はジャニーズ事務所からスタートし、少年アイドルグループ「CHA-CHA」のメンバーとして知られている。出身は東京都港区六本木で、音楽への情熱を早くから持ち続けてきた。その背景には、彼が13歳の時にマイケル・ジャクソンの影響を受け、ジャニーズに応募し合格したことが関係している。

ジャニーズ時代

中村は、1985年に「少年忍者」内のユニットとして活動を開始し、1987年には萩本欽一のプロデュースによる「おめで隊」でレコードデビューを果たした。その後、1988年には「CHA-CHA」として再デビューし、彼の名は全国的に知られるようになった。テレビの音楽番組やバラエティに頻繁に出演し、幅広いファン層を築いた。

20歳の時にジャニーズを離れ、1992年には「NOBU」としてソロCDをリリースする。彼のキャリアはここで一つの転機を迎える。

アボリジニの楽器との出会い

中村は25歳でオーストラリアに渡り、アボリジニの楽器であるディジュリドゥに出会う。彼はこの古代の楽器に強く感銘を受け、その演奏法を現地で学び、日本に帰国後も技術を磨き続けた。やがて、彼は「KNOB」という芸名で活動を始める。この名前には「自分自身の新たな扉を開く」という意味が込められている。

彼の演奏スタイルは日本の伝統文化とアボリジニの音楽を融合させたもので、着物姿でディジュリドゥを演奏し、般若心経や祝詞を奏上するなど、日本人らしい独自のスタイルを確立した。全国各地の神社や仏閣での奉納演奏も積極的に行い、地元の文化への深い敬意を表現している。

音楽活動と奉納演奏

KNOBは、北鎌倉・雪堂美術館を拠点とし、全国を巡る演奏活動を続けている。また、熊野本宮大社や鶴岡八幡宮など、著名な神社仏閣においても奉納演奏を行い、音楽を通じた祈りの形式を探求している。彼は茶道にも親しみ、自ら茶会を開きながら、演奏と茶の文化を結びつけている。

書道とその芸術的追求

子供の頃から習っていた書道にも再び真剣に取り組み、小野田雪堂に師事する。2002年には書道の師範の資格を取得し、作品は数々の展覧会でも紹介されるなど、その腕前が評価されるようになる。

受賞歴と国際的な活動

2021年には、アボリジニの伝統楽器を通じて日本の精神文化を提唱したことが評価され、伏見宮殿下から社会文化功労賞を授与された。音楽活動を通じてのみならず、国内外の聖地や文化遺産の場所にも足を運び、彼の音楽は人々に深い感動を与え続けている。海外では、インドやイスラエル、欧州の国々を巡り、さまざまな国で献奏を行っている。

音楽の探求とヒーリング

彼はまた、「True Life Harmony」というセッションを通じて、自然音楽を使ったヒーリング活動も行っている。芸術、宗教、医療を織り交ぜたアプローチで、音の力による癒しや心の安らぎを提供することに尽力している。古代人が持っていた音の原点を追求し、彼の活動は音楽の新たな可能性を切り拓いていると言える。

中村亘利の音楽の旅は、ただのエンターテインメントを越え、音楽を通じて人々とのつながりを生み出し、新たな文化的な価値を見出す取り組みへと広がっている。

もう一度検索