中村工房

中村工房

『中村工房』は、漫画家・中村光によるギャグ漫画作品で、2002年から2003年にかけて『月刊ガンガンWING』にて連載されました。数ページのショートギャグで構成されており、多くのキャラクターが登場します。その中には、後の作品『荒川アンダー ザ ブリッジ』に登場するキャラクターの原型となったものも多く含まれており、作者の作風の変遷を辿る上でも興味深い作品です。

作品の特徴

本作は、短編ギャグ漫画集として、様々なシチュエーションやキャラクターが登場します。基本的には一話完結型ですが、一部のキャラクターは複数回登場することもあります。また、登場キャラクターの多くは使い捨てであり、その刹那的な魅力も特徴の一つです。作者自身やその家族、編集担当などをモデルにしたキャラクターも登場し、作品に独特のユーモアを加えています。

登場人物

本編開始前に登場するキャラクター

中村光
本作の作者であり、漫画の冒頭に登場するショートコントの主人公。ある意味、本作における唯一のレギュラーキャラクターと言えます。
担当
作者である中村光の担当編集者。顔には「坦」と書かれているだけで、目や口などの部位は描かれていません。中村の冗談交じりの終了宣言を快く受け入れるなど、飄々としたキャラクターです。
中村の父
中村光の父親で陶芸家。作中に陶芸を題材にした短編が登場するのは、彼の存在が影響していると考えられます。娘の陶芸の腕を「ヘッポコ」と評しつつも、読者のために腕を振るうことを促す、厳しくも優しい父親です。
中村の母
中村光の母親。娘に対しては厳しく、鉄拳制裁も辞さない一面を持っています。
中村の姉
中村光の姉。既婚者で、中村の家の近くに住んでいます。夕食時には中村を招くなど、親密な関係がうかがえます。スペース放浪記の主人公の髪型のせいでトーン作業が大嫌いになったというエピソードも。
中村の兄
中村光の兄。中村の漫画には「強力なキャラクター」が足りないと主張し、人気投票の開催を提案する、情熱的な人物です。銃が好きで、渾身のツヤ消しブラックが自慢です。

本編に登場するキャラクター

堀川直行
「白線流れ」シリーズの主人公。白線から落ちたら高校を卒業できないというルールを自らに課し、苦労しながら帰宅する高校生。白線渡りのおじさんとの出会いを通して、白線に対する執念を深めていきます。
エック・ハルベルト
「スペース放浪記」シリーズの主人公。宇宙軍の戦艦「アース」に配属された兵士ですが、破天荒な艦長たちに振り回される日々を送ります。新米として「生き物係」を任され、宇宙兎の世話をすることになります。
宇宙兎
「スペース放浪記」シリーズに登場する、マスコットのような姿の謎の生物。長期的に関わると精神を不安定にさせる危険な存在です。単体で分裂して数を増やせる特徴があります。
サンダー
チワワのオス。元野良犬で、牧羊犬としてお姉さんに飼われるも、毎日弄ばれる。
ヤン・キャバン
「エデンに一番近い家」シリーズに登場する少年。シスターの厳しい言葉によって、死んだ魚のような目になり、さらに半魚人のような容姿へと変化していきます。
さみしんぼう電柱
昼夜問わず活動する電柱。周囲に話し相手がいないため、孤独を感じています。飛んでいた鳥に話しかけようとするなど、寂しがり屋な一面を見せます。
おじぞうさま
食玩チョコタマゴのフィギュアで、山道に放置されていたところをおばあさんに拾われます。おばあさんの孫の願いを叶え、コンプリートに貢献しました。

『荒川アンダー ザ ブリッジ』に登場するキャラクターの原型

河童
『荒川アンダー ザ ブリッジ』に登場する河童の原型。本作では、着ぐるみではなく本物の妖怪として登場します。パンクを自称し、海水浴にも挑戦しようとするなど、破天荒な一面を見せます。
エスパー兄弟
『荒川アンダー ザ ブリッジ』に登場する鉄人兄弟の原型。研究所から逃げ出してきた兄弟で、鉄仮面で素顔を隠しています。弟は素顔を晒しますが、兄は成長期のためにマスクを外せません。
牧場のお姉さん
『荒川アンダー ザ ブリッジ』に登場するマリアの原型。飼育している動物をからかって楽しむ、いたずら好きなお姉さんです。
白線渡りのおじさん
『荒川アンダー ザ ブリッジ』に登場するシロの原型。堀川直行に白線渡りのルールについて忠告します。
星
『荒川アンダー ザ ブリッジ』に登場する星の原型。本作では人間ではなく、ロープにぶら下がって現れる星として描かれています。願いを叶える存在であり、一番星と彦星が存在します。
シスター
『荒川アンダー ザ ブリッジ』に登場するシスターの原型。孤児院で子供たちを鍛え上げる厳しいシスターとして描かれています。
ステラ
『荒川アンダー ザ ブリッジ』に登場するステラの原型。本作では、ヤンのことを心配する優しい一面を見せます。
ピー子
『荒川アンダー ザ ブリッジ』に登場するP子の原型（?）。本作では突然変異のピーマンで、東京で癒し系アイドルとしてデビューします。
ビリー
『荒川アンダー ザ ブリッジ』に登場するビリーの原型（?）。本作では、普通のオウムとして登場し、飼い主である気弱な青年に乱暴な言葉を教えています。
ジャクリーン
『荒川アンダー ザ ブリッジ』に登場するジャクリーンの原型（?）。本作では、人語を話す尻軽な女王蜂として登場。多くの夫と子供を持つ、情熱的なキャラクターです。

単行本情報

第1巻：2002年12月27日発売（ISBN 4757508387）
第2巻：2003年7月27日発売（ISBN 4757509782）
第3巻：2004年2月27日発売（ISBN 4757511078）

外部リンク

カッパドキア（中村光公式サイト）

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