中村時蔵 (6代目)

六代目中村時蔵について

六代目中村時蔵（ろくだいめ なかむら ときぞう）は、1987年11月22日に生まれた日本の歌舞伎役者です。屋号は「萬屋」、定紋は「桐蝶」で知られ、替紋には「蔓片喰」が用いられています。彼は、前名「中村梅枝」としても広く認知されており、本名は小川義晴（おがわ よしはる）です。兄弟には実弟の中村萬太郎がいます。このような家庭背景から、彼は自然と歌舞伎の世界に引き込まれました。

中村時蔵は東京都で生まれ、女形歌舞伎役者として名を馳せています。彼の父は、著名な女形役者である中村萬壽で、その影響が彼のキャリアに大きな役割を果たしています。若手女形の中でも特に注目されており、菊五郎劇団一座において数多くの重要な役柄を演じてきました。彼の学歴には、慶應義塾幼稚舎や普通部、高等学校を経て文学部に進学したものの、舞台活動により大学を中退したという経歴があります。

2014年4月に茶道の表千家に所属する千葉素美と結婚し、2015年には長男の大晴（ひろはる）が誕生します。こうして家庭を持ちながらも、舞台での活動を優先しているのが彼の姿勢です。また、彼は2018年に重要無形文化財（総合認定）に認定され、伝統歌舞伎保存会の一員となりました。同年には、五代目坂東玉三郎からの指名を受けて、重要な作品『壇浦兜軍記』の阿古屋役を六代目中村児太郎と共に演じることとなりました。

将来的に演じたい役への熱意も示しており、特に「八重桐廓噺 嫗山姥」の荻野屋八重桐をやるべき役柄だと考えています。また、2007年の歌舞伎座での『鬼一法眼三略巻 菊畑』から受けた感銘により、「奴虎蔵」にも強い興味を抱いているとインタビューで語りました。おじさんの七代目菊五郎に学びたいとも考えており、若手後継者の育成にもしっかりと取り組んでいる姿勢が伺えます。

中村時蔵は、様々な稽古事にも取り組んでおり、日本舞踊や鼓、太鼓、長唄三味線、清元節、義太夫節、箏曲など多岐にわたります。さらに、茶道や書道、日本画にも関心を持ち、幅広い技能を磨いているのが特徴です。また、仲間たちと「歌舞伎ダーツクラブ」を結成し、若手役者同士の交流を深めています。2010年時点でのクラブリーダーは二代目中村勘太郎で、メンバーには他にも多くの若手歌舞伎役者が参加しています。

2024年6月には、歌舞伎座での『妹背山婦女庭訓 三笠山御殿』において、六代目中村時蔵として襲名する予定です。長男の大晴も五代目中村梅枝を襲名することが決まっており、家族全体で歌舞伎の伝統を次の世代に受け継いでいくことへの強い意志を示しています。テレビ出演の一環としては、1995年に放映されたNHKの大河ドラマ『八代将軍吉宗』では徳川家継役を務め、歌舞伎役者としての存在感を広めました。彼の舞台への情熱や多才な才能は、今後も多くのファンに愛されることでしょう。

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