長唄

長唄（ながうた）についての詳細

長唄は、近世邦楽の重要な音楽ジャンルであり、特に三味線音楽として人気を持つ一派です。この音楽形式は、江戸時代における音楽文化の中で特に発展し、正式には「江戸長唄」と呼ばれています。さらに、地歌の一種として「上方長歌」も存在し、これらはそれぞれ異なるスタイルや特徴を持っています。

江戸長唄とは

江戸長唄は、「語り物」と言われる義太夫節とは異なり、唄を主体とした「歌い物」です。基本的には複数の唄と三味線によって演奏されますが、曲によっては小鼓や太鼓、笛などが加わり、賑やかな「お囃子」を形成することもあります。また、いくつかの曲には「上調子」と呼ばれる独自の三味線パートも存在します。

もともと江戸長唄は元禄期に上方歌舞伎の演目の一つとして歌われた芝居歌が起源であり、享保時代以降に短い長唄として江戸の歌舞伎に取り入れられました。しんみりとして寂しい情緒が特徴で、一人または二人によって下座で歌われました。宝暦期以降、歌舞伎の舞台表現が多様化する中で新作も次々と作曲されるようになりました。

江戸長唄の作詞者・作曲者には、金井三笑や初代冨士田吉次、杵屋正次郎といった名だたる音楽家が名を連ねており、その作品は今も多くの人々に親しまれています。

代表的な楽譜

長唄の演奏に使われる楽譜には、いくつかの種類があります。例えば、文化譜（赤譜）という楽譜は、三線譜とも呼ばれ、各弦の音を0から10までの数字で表記する方式です。また、研精会譜は、数字で表現された音階に基づいており、比較的シンプルに演奏を示すことができます。これらの記譜法は、演奏者が三味線を弾く際に必要な情報を容易に提供します。

上方長歌

上方長歌は、三味線に伴奏された歌で、地歌の一形式です。江戸時代中期以降、上方を中心に展開された三味線の長編音楽であり、地歌や箏曲、胡弓との密接な関係から、三曲合奏で演じられることも多くあります。元々は元禄期に江戸で生まれた木戸検校や佐山検校などによって作曲されました。

上方長歌は、短い歌の集まりによって構成される組歌と区別され、全体を通して一貫した物語性を持つのが特徴です。また、演奏中に三味線の調弦を変えることなども行われます。このように長歌は、少しずつスタイルを変え、舞台音楽である江戸長唄へと発展していきました。

結論

長唄は日本の伝統音楽の一部として重要な地位を占め、歌舞伎をはじめとする多くの芸術形態に影響を与えています。江戸長唄と上方長歌は共に日本の文化遺産としての価値があり、それぞれが独自の魅力を持っているのです。この豊かな音楽文化を理解し、次世代に受け継いでいくことが必要でしょう。

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