中村泰久

中村 泰久

中村 泰久（なかむら やすひさ、1947年10月9日生まれ）は、日本の著名な天文学者です。福岡県にて生を受け、天文学の道を志しました。理学博士号を取得しており、特に天体物理学の分野で顕著な業績を上げています。

学術的な貢献

中村氏の主な研究対象は、近接連星系です。これは、互いの重力の影響を強く受け合う、非常に近い距離にある二つ以上の恒星からなるシステムです。この分野における最近の研究テーマとしては、星が互いを隠し合うことによって光度の変化を観測する食連星の測光観測や、恒星の表面に存在する黒点のような構造（斑点）が連星系の光度変化に与える影響を詳細に解析する光度曲線解析などが挙げられます。これらの研究を通じて、連星系の物理的な性質や進化に関する理解を深めることに貢献しました。

中村氏は、日本の天文学界で広く知られる北村正利氏のもとで学びました。また、自身の指導のもとで研究を進めた門下生の中には、兵庫県立大学で活躍する鳴沢真也氏がいます。

教育者としての歩み

学問研究に加えて、中村氏は教育者としても長いキャリアを積みました。1971年に東北大学理学部天文学科を卒業後、同大学の大学院へと進学し、学識を深めました。卒業後、当初は教育現場に身を置き、1981年には東京都立駒場高等学校の教諭として、公立高校での教育に携わりました（後に退職）。

その後、高等教育機関へと転じ、1988年に福島大学教育学部の助教授に着任しました。教育者としての情熱と研究者としての知見を活かし、後進の育成に尽力しました。1996年には同教育学部の教授に昇任し、さらに教育・研究活動の幅を広げました。2005年からは福島大学人間発達文化学類の教授として、教育学とは異なる視点からも学生の指導にあたりました。福島大学では、天文学や理科教育法といった科目を担当し、多くの学生に科学の面白さや教育の重要性を伝えました。

大学運営における貢献

教育・研究活動と並行して、中村氏は大学の運営においても重要な役割を担いました。2005年4月からは福島大学人間発達文化学類の学類長を務め、学部内の組織運営や教育課程の整備に取り組みました。さらに、2008年4月からは福島大学の理事・副学長（教育担当）という要職に就き、大学全体の教育方針の策定や教育改革の推進においてリーダーシップを発揮しました。これらの役職を通じて、大学の発展と教育の質の向上に大きく貢献しました。

主な著作

中村氏は、専門分野に関する多くの研究論文を発表する傍ら、共著書としてもいくつかの重要な書籍を刊行しています。代表的なものとしては、2003年に朝倉書店から出版された『天文の事典』や、2009年に日本評論社より刊行された現代天文学シリーズの一冊である現代天文学第７巻『恒星』などがあり、これらの書籍は天文学の研究者や学生にとって貴重な参考資料となっています。

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