中村粲

中村粲（なかむら あきら）

中村粲は、1934年4月24日に東京都で生まれた英文学者であり、近代史研究家として知られる。獨協大学の名誉教授であり、彼の教育と研究は多くの人々に影響を与えた。彼は2010年6月23日に76歳で肺癌によって没した。

経歴

中村は、鎌倉市立御成小学校や栄光学園で学び、1959年に東京大学文学部英文学科を卒業した。その後は都立高校の教員を経て、1964年から獨協大学外国語学部英語学科に勤務し始める。彼は専任講師、助教授を経て、1987年には教授に昇進し、1991年から英語学科の学科長も務めた。2005年3月に定年退職し、その後名誉教授となった。

中村の死去に伴い、「昭和史研究所」や「NHK報道を考へる会」は解散し、彼の業績を引き継ぐ形で「メディア報道研究政策センター」が設立されることとなった。

受賞と栄典

彼は1995年に第43回菊池寛賞を受賞した。これは「東京裁判却下未提出辯護側資料」という著書を共同編集し発表したことが評価されたものである。

言論活動

中村は私設の研究機関「昭和史研究所」を設立し、当時を知る人々からの証言を集める活動に力を注いだ。彼はこの活動が国家の責任であると強く主張した。また、市民団体「NHK報道を考へる会」の代表を務め、NHKの偏向報道を批判し、受信料の不払い運動を呼びかけた。

彼は多くの保守団体に関与し、数々の論争にも参加したことで知られ、特に「大東亜戦争」に関する著作を通じてその立場を明確にしていた。彼の主な著作には『大東亜戦争への道』があり、この本は特に評価されている。

論争と社会活動

中村は様々な歴史論争に挑み、特に1990年代には南京事件や日韓併合に関する公開討論に参加していた。彼の立場は多くの賛否を呼び、特に左翼的な意見を持つ者との対立が多かった。彼は自身の意見を貫き、何度も批判にさらされるが、常に反論を行う姿勢を持ち続けた。

その中で、彼は記事や書籍で自らの立場を主張し、特にNHKへの厳しい批判を展開していた。1998年にはNHKを提訴し、彼自身の意見を社会に訴える活動を続けた。

著作と研究成果

中村の著作は多岐にわたり、英文学だけでなく日本近代史に関するものばかりでなく、英訳作業にも取り組んでいた。彼の文章は漢語が多用され、歴史的仮名遣いを使用していることが特徴で、これに関するエピソードも彼の活動の一環として語られている。

最後に

中村粲は、その独自の視点と活動により、日本の近代史や報道のあり方に強い影響を与えた人物であり、現在もその業績は多くの人々に語り継がれている。彼の言論活動は、今後の日本の歴史認識や教育の在り方においても重要な示唆を与えるものである。

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