中村良三 (柔道)

中村良三

中村良三（なかむら りょうぞう、1942年11月12日 - ）は、日本の柔道家。講道館九段。

現役時代は全日本選手権に出場。引退後は、東京教育大学（後の筑波大学）で教授、柔道部監督を歴任し、国際柔道連盟（IJF）教育理事としても活躍しました。

経歴

富山県高岡市出身。小学校低学年の頃、母親の友人から柔道を勧められたのがきっかけで柔道を始めました。

高陵中学校時代には、生涯の師となる向健三と出会い、中学3年で県大会団体戦・個人戦で優勝。高岡高校を経て、1961年に東京教育大学へ入学し柔道に打ち込みました。大学4年時の1964年には、全日本選手権に東京地区代表として出場を果たしています。

1965年に大学卒業後、富山県の福野高校に教員として赴任。その後、東京教育大学に武道学科が新設されたことに伴い大学へ戻り、1967年9月より大学教員、翌1968年4月より柔道部監督に就任。恩師である松本芳三の助手を務めました。

後進の指導にあたる傍ら、自身も現役選手として全日本選手権に3度出場しています。

中村は、既存の練習方法にとらわれず、新しい練習法を積極的に導入しました。例えば、ミュンヘン五輪でバレーボール選手が倒立歩行をしているのを見て、柔道部にもマット運動を取り入れたり、当時珍しかった連続投込練習、練習前のストレッチや練習後のマッサージなどを導入。これらの改革により、1976年の東京学生優勝大会で母校を優勝に導きました。

1980年代に女子柔道が盛んになると、筑波大学は女子選手の強化を始めました。中村は当初、男子と混合で練習していた女子選手たちに対し、山口香からの直訴を機に、彼女たちを連れて出稽古に行くなど熱心に指導しました。1985年には、教え子である小俣幸嗣に男子柔道部監督の座を譲り、自身は柔道部総監督として女子選手の指導に専念。女子には男子とは異なる練習メニューを取り入れ、技の反復練習や寝技の強化に力を注ぎました。

その結果、10名以上の世界選手権メダリストを輩出し、1992年のバルセロナ五輪では全日本女子監督を務めました。

中村は、筑波大学への外国人稽古生の受け入れを積極的に行う一方で、自身も国際交流基金の一員として、柔道後進国を巡り指導しました。また、全柔連教育普及委員長として、全日本形競技大会の立ち上げに尽力しました。

1997年1月には、国際柔道連盟（IJF）の教育理事に就任。一本勝を推奨する『一本トロフィー』制度や『IJFフェアプレー賞』を創設しました。

国内では、嘉納治五郎の原点に立ち返った柔道を通じての人間教育を提唱する『柔道ルネッサンス』を始動させました。

2003年にIJF教育理事を退任後は、筑波大学体育専門学群教授および柔道部部長、全日本柔道連盟理事として活躍。2007年3月に筑波大学を定年退官し、名誉教授となりました。退官後は、了徳寺大学で後進の指導にあたり、現在は筑波大学柔道指導者の会である茗柏会会長や全日本柔道連盟顧問、茨城県柔道連盟顧問等の要職を務めています。

息子も指導者として海外で柔道指導に従事しており、そのDNAを受け継ぎ、柔道の海外普及に貢献しています。

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