中津川 (仁淀川町)

中津川の概要

中津川（なかつがわ）は、四国地方にある仁淀川の上流に位置する支流です。愛媛県との県境にある中津明神山や雑誌山から始まり、高知県の仁淀川町へと東へ流れ、仁淀川に合流します。流路の認定延長は9.0キロメートル、流域面積は32.20平方キロメートルです。この流域は中津渓谷と呼ばれる美しい景勝地として知られており、その上流部に当たる上名野川地区や中津川の両岸は中津渓谷県立自然公園に指定されています。また、この場所は「四国の水辺88か所」にも選ばれています。

中津川の流路

中津川の源流は仁淀川町（旧吾川村）西部に位置する中津明神山です。そこから斜面を下り、上名野川地区に至ります。この地域では、北から流れる雑誌山の槇ノ谷と合流します。上名野川地区全体は中津渓谷県立自然公園の一部として保護されており、地域の歴史も豊かです。かつてここは「奥菜ノ川村」と呼ばれ、平安時代に平宗盛が郎党を連れて逃げ込み、明神山城（名野川城）を築いたという伝説が残っています。また、戦国時代には、文禄年間に落人である丸石四方太夫が建立したとされる大山神社が存在しました。

一方、上名野川地区の下流には下名野川地区が広がっています。この地には元亀年間に築城されたとされる「寒草城」跡があり、当時の面影がうかがえます。しかし、長宗我部元親による検地が行われた時期にはすでにこの地域が衰退していました。近年では高齢化が進み、2004年に下名野川小学校が廃校となりましたが、翌年からは校舎を利用した「山村自然楽校しもなの郷」がオープンし、宿泊や観光ガイド、農村体験などが行われています。

下名野川地区を流れる北川川が中津渓谷となり、さらに流れを進めると名野川地区に達し、仁淀川に合流します。合流点付近には1924年に開業した名野川発電所が設置されており、中津川の中流部から取水し標高差184.57メートルを活用して発電を行っています。

中津渓谷の魅力

中津渓谷は、断崖や巨岩、滝や淵が点在する独特の景観を有しています。この渓谷は中津渓谷県立自然公園の中心的なエリアであり、全長2キロメートルを超える遊歩道が整備されています。また、温泉宿泊施設も点在しており、自然の中でリラックスできる環境が整っています。中には四国八十八景の31番に選ばれた、落差20メートルの「雨竜の滝」や高さ約8メートルの「石柱」、美しい「紅葉の滝」、神秘的な「竜宮淵」など、四季折々の美しい景観が楽しめます。特に11月には紅葉が美しく、多くの観光客が訪れる名所となっています。

自然公園の指定

中津渓谷は1958年に中津渓谷県立自然公園として指定されました。公園の指定範囲は1,684ヘクタールに及び、域内には太平洋や瀬戸内海、四国カルストを一望できる中津明神山や様々な自然景観のほかに、歴史的な遺跡である大山神社や寒草城跡も含まれています。この地域は自然と歴史が融合した貴重な文化遺産を持ち、多くの人々に親しまれている場所となっています。

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