中田久吉

中田 久吉の生涯

中田 久吉（なかだ ひさきち）は、1859年9月9日に青森県弘前市で生を受けました。彼は弘前藩の足軽の父兵作と母千代の間に生まれた3人兄弟の長男です。明治維新の後、家族は南津軽郡の大光寺村に移住しますが、1875年に父が亡くなると、久吉は弘前に戻り東奥義塾に通い始めます。

西南戦争には軍人として参加したものの、実戦には参加せず、1883年に再び弘前に帰郷しました。その後、スパルタ式教育で弟の重治を育てることになります。1884年には軍隊に戻り、金沢連隊に配属されますが、そこで教会に通い、宣教師のT・C・ウィンに感化され、洗礼を受けます。彼は金沢教会の執事や長老として活動し、当時の弟貞作が14歳で亡くなるという悲劇も経験しました。

1885年、メソジスト教会に加わり、神学校には通わなかったものの牧師試験に合格。伝道師として故郷の弘前に赴任し、7年後、1886年に人見明と結婚し、3人の息子と3人の娘をもうけます。その後、北海道、長野県松本市、埼玉県熊谷市と転任を重ね、1894年には松本美以教会で木下尚江に洗礼を授けました。

彼の弟の重治が渡米することを考えた際、最初は反対しましたが、後に援助を決意し、自分の衣服を売ることで重治の渡米資金を作ります。1897年、弘前に戻り正教師となり、経済的な事情や家族の絆を大切にしながら活動を続けました。このころ、アメリカで重治が受けた聖霊のバプテスマの証に感銘を受け、ペンテコステ的運動の必要を感じたことから、ペンテコステ同盟会を組織し、福音主義の運動を推進します。

さらに、ジョン・ウェスレーに敬意を表してエプスウォース同盟会も設立し、活動の幅を広げました。彼の信仰の深化と地域社会への影響力は、メソジスト教会の中で一層の評価を受けることとなります。

1900年には名古屋に転任し、当地でメソジスト教会の発展に寄与しましたが、1905年に自身が腸チフスにかかり、現職のまま亡くなります。彼の死は、多くの人々に惜しまれ、弘前及びその周辺における彼の功績は後世においても語り継がれています。彼の生涯を通じて、禁酒や廃娼運動に取り組んだことは、当時の社会に対する重要なメッセージとなりました。彼の影響力は、後に続く多くの牧師や信者に受け継がれ、メソジスト教会の発展に寄与していくのです。

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