中田商店

中田商店：アメ横のミリタリー文化を牽引する老舗

東京都台東区上野アメ横にある中田商店は、軍装品や革製品などを扱う老舗ミリタリーショップです。1956年の創業以来、日本のミリタリー文化に深く関わり、独自の道を歩んできました。その歴史と魅力を紐解いていきましょう。

戦後から続くミリタリービジネスのパイオニア

創業者の故中田忠夫氏は1927年生まれ。戦時中、勤労動員を経験し、終戦後、広島で旧日本軍の軍服売買からビジネスを始めました。その後、東京に進出し、銀座での露天商を経て、1956年にアメ横で1坪の店舗を構えました。

当初は電気カミソリや万年筆などの紳士小物も扱っていましたが、輸入玩具のモデルガンが人気を博し、最盛期には8台のリヤカー部隊を組織して販売するほど盛況を極めました。1960年代には、日本初の国産モデルガンの企画・販売にも携わり、日本のモデルガン業界の草分け的存在となりました。

モデルガンから軍用品、そしてミリタリーファッションへ

1970年代のモデルガン規制を機に、中田商店は払い下げ軍用品へと事業の中心を移行します。ベトナム戦争終結後の1975年には、沖縄の米軍基地からジャングルファティーグ10万枚を買い付け、アメ横で販売。当時の若者を中心に大ヒット商品となりました。

1980年代にはフライトジャケットブームが到来。映画『トップガン』の大ヒットを受け、ALPHA社のMA-1ジャケットが爆発的な人気を博し、発売日には200人以上の行列ができるほどでした。

現代の中田商店では、ALPHA、AVIREX、HOUSTONといった米軍物のミリタリージャケットをはじめ、BATESのタクティカルブーツ、台湾のJ-TECHのバッグ、ポーランドのHELIKONTEXやロシアのSPLAVのアウトドア系ミリタリー衣料など、幅広いアイテムを取り扱っています。高品質な商品を低価格で提供するという創業者のポリシーは、現在も中田商店の根幹をなしています。

戦争博物館設立という理念

中田忠夫氏の最大の目標は「戦争防止」でした。その信念に基づき、軍用品ビジネスを通じて、戦争に関する正確な記録を残す戦争博物館の設立を目指していました。中田商店が収集した膨大な軍装品コレクションは、世界でも有数の規模を誇ります。

映画・ドラマへの衣装提供

中田商店は、数多くの映画やドラマ、舞台作品に衣装や小道具を提供しています。大日本帝国陸軍・海軍の軍服や軍装品のレプリカだけでなく、朝鮮人民軍の軍服なども製作。中田忠夫氏は自ら史料を入手し、海外の工場に調査に行くなど、徹底した考証を行っていました。

1973年に出版した『大日本帝国陸海軍　軍装と装備』は、時代考証資料として映像制作現場で広く活用されています。同書は一時絶版となっていましたが、復刻版が発売され、現在でも入手可能です。

店舗と提携店

中田商店はアメ横店と御徒町店の2店舗を運営しています。（御徒町店は現在、通信販売店舗として営業）。かつて御徒町店2階には資料館があり、軍服や軍装品の実物やレプリカが展示されていましたが、現在は倉庫として使用されています。

また、全国各地に提携店があり、中田商店の商品を取り扱っています。

まとめ

中田商店は、戦後から続くミリタリーショップとして、日本のミリタリー文化に多大なる貢献をしてきました。創業者の理念を受け継ぎながら、これからもミリタリーアイテムを通じて、多くの人々に感動と歴史を届けていくことでしょう。

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