中空重力式コンクリートダム

中空重力式コンクリートダムは、重力式コンクリートダムの亜種であり、コンクリートのコスト削減や輸送量の制約から生まれたダム形式です。別名ホローグラビティダムとも呼ばれます。

概要
外観や基本的な構造は重力式コンクリートダムと同様ですが、ダム内部に中空部を設けることで、同規模の重力式ダムに比べてコンクリートの使用量を削減できます。また、中空部を設けることでダムの接地面積が広がり、通常の重力式ダムよりも安定性が向上するという利点があります。

歴史と現状
中空重力式コンクリートダムは、海外では主にイタリアで建設され、日本では井川ダムを皮切りに1950年代から1960年代にかけて多く建設されました。しかし、建設には水系・所在地・事業者に偏りが見られます。水系別では、大井川水系、最上川水系、木曽川水系、吉野川水系で全体の半数を占め、所在地別では、静岡県、山形県、岐阜県、高知県に多く存在します。事業者別では、電力会社による施工実績が多く、特に中部電力の所有数が多いのが特徴です。

しかし、現在ではコンクリートの価格が低下し、型枠の複雑化による人件費が増大したため、1972年の内の倉ダム（新潟県）の完成を最後に、新規建設は行われていません。現存する中空重力式コンクリートダムは13基です。セメントの低価格化や、より経済的に建設できる台形CSGダムなどのダム形式が開発されたため、今後中空重力式ダムが建設される可能性は低いと考えられています。

空洞の活用
近年、「地域に開かれたダム」施策の一環として、ダムの積極的な開放が進められています。中空重力式ダムでは、堤体内部の中空部分が活用される動きがあり、横山ダムや内の倉ダムでは、空洞内でコンサートが開催され、音の反響が良いと好評です。また、他のダムでも、見学希望者に対して堤体内の中空を開放する事例が増えています。

日本の中空重力式コンクリートダム一覧
(ここでは一覧を省略します。必要であれば追記してください。)

関連項目

ダム
日本のダム
日本のダムの歴史
重力式コンクリートダム
* バットレスダム：バットレスダムの一種として分類されることもあります。

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