中立パトロール

中立パトロール：第二次世界大戦初期のアメリカ海軍の哨戒活動

中立パトロールは、1939年に勃発した第二次世界大戦初期に、アメリカ海軍が実施した哨戒活動とその部隊を指します。これは、フランクリン・ルーズベルト大統領が宣言したアメリカ合衆国の中立を維持するための重要な施策でした。

背景

1939年9月1日、ドイツ軍によるポーランド侵攻によりヨーロッパで第二次世界大戦が勃発しました。これに対し、ルーズベルト大統領は直ちにアメリカの中立を宣言しました。しかし、アメリカは西半球の安全保障に対する責任を負っており、戦争の拡大を防ぐ必要がありました。

中立パトロールの開始と目的

このような状況下で、アメリカ海軍は1939年9月から中立パトロールを開始し、哨戒活動を強化しました。その主な目的は、

西半球の海域における交戦国の軍事行動の追跡と報告
アメリカの中立維持

でした。アメリカ海軍は、交戦国によるアメリカへの直接的な脅威を監視するとともに、西半球における紛争の拡大を抑制しようとしました。

活動内容

中立パトロールは、アメリカ東海岸および港湾付近に配置され、その活動範囲を徐々に拡大していきました。ルーズベルト大統領は、パトロールを増強するために、フィラデルフィアおよびサンディエゴで保管されていた77隻の駆逐艦や機雷敷設艦を再就役させました。

中立パトロールの活動は、大西洋を横断する船団を警護するイギリス海軍艦艇に対するアメリカ海軍艦艇による間接的な支援へと繋がっていきました。しかし、アメリカが正式に参戦する以前の活動でありながら、中立パトロールはアメリカ海軍の兵員を危険に晒すこともありました。1941年10月31日には、ドイツ潜水艦U-552によって駆逐艦ルーベン・ジェームズ (USS Reuben James, DD-245) が撃沈され、多くのアメリカ海軍兵士が犠牲となりました。

意義

中立パトロールは、アメリカが第二次世界大戦に参戦するまでの間、西半球の安全保障を維持し、アメリカの中立を守る上で重要な役割を果たしました。また、この活動を通じて、アメリカ海軍は実戦経験を積み、後の戦争遂行能力の向上に繋がりました。

参考文献

“Strict Neutrality - Britain and France at War with Germany: September 1939 - May 1940”. United States Navy and World War II. Naval-History.net.
Capt. William E. Scarborough, USN (Ret.). “The Neutrality Patrol: To Keep Us Out of World War II?” (PDF). Naval Historical Center, United States Navy.

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