中絶禁止法に反対しピル解禁を要求する女性解放連合

中絶禁止法に反対しピル解禁を要求する女性解放連合（中ピ連）：日本のウーマンリブ運動における過激派

1970年代前半、日本の女性解放運動において独特の存在感を示した団体として「中絶禁止法に反対しピル解禁を要求する女性解放連合」、通称「中ピ連」がある。元薬事評論家の榎美沙子を代表に、ピンク色のヘルメットを着用し、過激な活動で世間の注目を集めた中ピ連は、日本のウーマンリブ運動史に重要な足跡を残した。

結成とピル解禁運動

中ピ連は1972年6月18日に結成された。当時、日本では経口避妊薬（ピル）が薬事法で厳しく規制されており、女性にとって自由にピルを入手することは困難だった。中ピ連は、この状況を女性の抑圧と捉え、ピルの自由化を強く訴える運動を展開した。その活動は、単なる啓発活動にとどまらず、社会への強い抗議という形をとった。

過激な活動と社会へのインパクト

中ピ連の活動は、他のウーマンリブ団体とは一線を画す過激さで知られた。例えば、「女を泣き寝入りさせない会」という下部組織を設立し、家庭内暴力の被害者支援に乗り出した際には、マスコミを伴い加害者の職場に押しかけるといったデモ活動を行った。

また、中ピ連は、優生保護法改正を推進していた自民党の議員をターゲットとした抗議活動も展開した。国会や議員宅に押しかけ、激しい抗議を行うなど、その活動は社会に大きな衝撃を与えた。これらの活動は、当時の社会通念を大きく揺るがすものであり、中ピ連はメディアの注目を集め、大きな議論を巻き起こした。

活動の終焉と日本女性党

しかし、中ピ連の活動は次第に勢いを失っていく。派手な活動や、実現性の低い政策提案への反発など、内部での意見の対立も大きくなった。そのため、多くの会員が離れていき、活動は縮小していった。

その後、榎美沙子は中ピ連を母体として「日本女性党」を結成。女性中心の政治を目指し、1977年の参議院選挙に10名の候補者を擁立したが、全候補者落選という結果に終わった。この選挙の敗北を機に、中ピ連と日本女性党は解散した。

広報誌『ネオリブ』

中ピ連は、ニューズレター『ネオリブ』を発行していた。1972年7月から1973年9月までの約1年間にわたって、月2回程度のペースで発行されたこの広報誌は、中ピ連の主張や活動内容を伝える重要な役割を果たした。

『ネオリブ』の内容は、性と生殖に関する女性の権利を強く訴えるものであった。特に「生む性」であることを拒む権利を強調した点は、他のウーマンリブ団体との大きな違いであり、激しい論争を巻き起こした。また、薬学的な専門知識に基づいた詳細な記述もあり、榎美沙子の薬学部の出身が背景にあったとされる。しかし、『ネオリブ』は、他のリブ系団体からデマや中傷の温床だと批判されたこともあった。

中ピ連の活動の評価

中ピ連は、日本のウーマンリブ運動において、過激な活動と明確な主張によって大きな存在感を示した。その活動は、当時の人々の意識を大きく変え、日本の女性の権利向上に貢献した側面もある。しかし、同時に、その活動方法や主張には批判的な意見も多く存在する。

中ピ連は、現代においても、その活動内容や主張、そしてその功罪について様々な議論がなされている。日本のウーマンリブ運動史を理解する上で、中ピ連の存在は決して無視できない。中ピ連の活動は、現代のフェミニズム運動にも多くの示唆を与えていると言えるだろう。

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