中華人民共和国国家安全部

中華人民共和国国家安全部：国家の安全を担う情報機関

中華人民共和国国家安全部（Ministry of State Security of the People's Republic of China）は、中国の情報機関として、国内外の情報収集、スパイ活動、防諜活動を担う重要な組織です。国務院に所属する政府機関であり、1983年7月に党中央調査部を主体として、国務院公安部政治保衛局、党統戦部、国防科学技術工業委員会の関係部署を統合して設立されました。

組織構造

国家安全部の本庁舎は北京市の東城区東長安街14号に位置し、各地に国家安全局を配置しています。職員の階級呼称は公安部のそれに準じ、組織は以下のような局で構成されています。

第一局（機要局）： 暗号通信の管理を担当します。
第二局（国際情報局）： 国際戦略情報の収集を行います。
第三局（政経情報局）： 各国の政治、経済、科学技術に関する情報を収集します。
第四局（台港澳局）： 香港、マカオ、台湾における情報活動を行います。
第五局（情報分析通報局）： 情報分析と通報、情報収集業務の指導を行います。
第六局（業務指導局）： 各省庁の業務指導を担当します。
第七局（反間諜情報局）： スパイ活動に関する情報収集を行います。
第八局（反間諜偵察局）： 外国のスパイの追跡、偵察、逮捕を行います。
第九局（対内保防偵察局）： 渉外組織の防諜、監視、内部反動組織や外国組織の告発を行います。
第十局（対外保防偵察局）： 外国駐在組織の人員や留学生の監視、告発、域外反動組織の活動偵察を行います。
第十一局（情報資料センター局）： 文書や情報資料の収集、管理を担当します。
第十二局（社会調査局）： 民意調査や一般的な社会調査を行います。
第十三局（科学的偵察技術局）： 科学的な偵察技術や機器の管理、研究開発を行います。
第十四局（技術偵察局）： 郵便物の検査や電気通信の偵察、告発を行います。
第十五局（総合情報分析局）： 総合的な情報分析や調査研究を行います。
第十六局（映像情報局）： 衛星情報判読を含む、各国の政治、経済、軍事関連の映像情報を収集します。
第十七局（企業局）： 担当組織に所属する企業や事業ユニットの管理を行います。


下部組織として、直轄市に置かれる国家安全局や、各省に設置されている国家安全庁などが存在します。

歴代国家安全部長

国家安全部のトップである国家安全部長は以下の通りです。

凌雲（1983年6月20日 - 1985年9月6日）
賈春旺（1985年9月6日 - 1998年3月18日）
許永躍（1998年3月18日 - 2007年8月30日）
耿恵昌（2007年8月30日 - 2016年11月7日）
陳文清（2016年11月7日 - 2022年10月30日）
陳一新（2022年10月30日 - 現在）

海外での活動

国家安全部は、海外でも積極的に活動を行っています。以下はその一例です。

アフガニスタン

2021年1月、アフガニスタンでスパイ容疑で中国人の集団が拘束されました。この集団は国家安全省と関係があり、ターリバーン内の強硬派「ハッカーニ・ネットワーク」と接触していたとされています。この事件は、国家安全部の海外活動の一端を示す事例として注目されました。

関連事項

国家安全部に関連する事項として、以下のものが挙げられます。

情報機関
公安警察
中華人民共和国国家安全法
* 国家安全局

まとめ

中華人民共和国国家安全部は、中国の安全保障を担う重要な情報機関であり、その活動は国内外に及んでいます。組織構造、歴史、海外での活動事例を理解することで、中国の情報活動の一端を知ることができます。

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