ハッカーニ・ネットワーク

ハッカーニ・ネットワークとは

ハッカーニ・ネットワークは、アフガニスタンとパキスタンを拠点とする、ターリバーン内の有力な派閥と目されています。ターリバーンの中でも最強硬派とされ、その指導者として名前が挙がるハッカーニ自身は組織の存在を否定しています。日本では報道される機会は少ないものの、2018年には創始者の死亡が報じられた際に、ハッカーニグループとして言及されました。

歴史

1980年代、アフガニスタン紛争中にジャラールッディン・ハッカーニが、アフガニスタン南東部でパシュトゥーン人を中心に組織を立ち上げました。当時、アメリカのCIAやパキスタンのISIといった情報機関から支援を受け、ムジャーヒディーンの派閥として成長しました。1992年に人民民主党政権が崩壊すると、ハッカーニは臨時政府で法務大臣に就任しました。1996年にターリバーンが首都カーブルを制圧すると、ハッカーニは指導者のムハンマド・オマルに忠誠を誓い、ターリバーンに合流しました。

2001年にターリバーン政権が崩壊した後、ハッカーニ・ネットワークはパキスタンの北ワズィーリスターン地区やアフガニスタン南東部で勢力を維持しました。アフガニスタンに駐留する外国勢力に対して活発なテロ活動を展開し、アメリカ同時多発テロ事件以降は、アルカイーダの指導者であったウサーマ・ビン＝ラーディンの逃亡を助けたともされています。

2021年8月30日、アメリカ軍が撤退し、ターリバーンが全土を再制圧しました。同年9月に組閣された暫定内閣では、ハッカーニ・ネットワークから内相にスィーラジュッディーン・ハッカーニ、難民担当相にカリル・ウルラフマーン・ハッカーニが入閣しました。ハッカーニ・ネットワークは、ターリバーンの復権は自らの軍事行動によるものだと主張し、政権内で大きな影響力を持つようになりました。

2024年12月には、ハッカーニ・ネットワークに所属するハリル・ハッカーニ難民相がISILによる爆発で死亡しました。

名前と背景

創設者ジャラールッディンは、パキスタンのデオバンド派学院ダルル・ウルーム・ハッカーニアでウラマーの資格を得ました。卒業後、ジャラルディン・ハッカーニを名乗ったことが、組織名の由来となりました。

パキスタンと中国との関係

パキスタンとの関係については、ハッカーニ・ネットワークが政府施設や軍への攻撃を行っていないことから、友好関係が保たれているとする見解があります。しかし、アメリカ合衆国はパキスタン政府がハッカーニ・ネットワークを含む武装組織に資金援助を行っていると非難しています。実際には、シラジュディン・ハッカーニとパキスタン・ターリバーン運動の最高指導者との密接な関係が指摘されており、ハッカーニ・ネットワークがパキスタン・ターリバーン運動を圧力をかけるための道具として利用している可能性も示唆されています。

また、2021年にはアフガニスタン政府が首都カブールで武装した中国人集団を逮捕しており、この集団が中国国家安全部の工作員であり、東トルキスタンイスラム運動に対抗するためにハッカーニ・ネットワークと接触していたとの噂もあります。

ハッカーニ・ネットワークは、アフガニスタン情勢において重要な役割を担う組織であり、今後の動向が注目されます。

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