中西章一の二人三脚

STVラジオ『中西章一の二人三脚』

『中西章一の二人三脚』は、北海道のSTVラジオで1988年1月4日に放送を開始し、1991年10月4日に終了した、平日午前中の時間帯を彩ったラジオワイド番組です。番組名の通り、パーソナリティであるエッセイストの中西章一氏が、リスナーと共に歩む姿勢を大切に制作されていました。中西氏は、作家活動に加えて家業である印刷会社の経営者という顔も持ち合わせており、時には「実業家」としても紹介されるなど、その多才な一面も番組の魅力となっていました。

この番組は、STVラジオの平日午前10時台に放送されたワイド番組の系譜に位置づけられます。1984年4月からスタートした『河村通夫の桃栗三年』に続く二代目の番組であり、その後に続く『工藤じゅんきの十人十色』へと繋がる、いずれも番組タイトルに四字熟語を用いたユニークなシリーズの中核を担いました。

番組の歴史の中で特に記憶に残る出来事として、1991年の春頃に番組内で紹介された「チーズ茶漬け」の話題が挙げられます。中西氏が発信したこのレシピがリスナーの間で大きな反響を呼び、その評判は瞬く間に広がりました。この人気を受けて、札幌市内の東急ストアなどでは実際に「チーズ茶漬け」が商品化されるという異例の展開を見せました。

さらにこの「チーズ茶漬け」の話題は、思わぬ形で全国的な広がりを見せます。STVラジオでもネットされていたニッポン放送の深夜番組『真璃子のオールナイトニッポン』に、この番組とチーズ茶漬けに関するリスナーからのハガキが届き、番組内で紹介されたのです。これがきっかけとなり、『中西章一の二人三脚』と『真璃子のオールナイトニッポン』の間でユニークな交流が生まれました。お互いの番組を話題にしたフリートークの音源を交換して放送したり、番組の会報誌をやり取りするなど、局の垣根を越えた連携が深められました。こうした繋がりも後押しし、チーズ茶漬けは当時、全国的にもその名を知られることとなりました。

番組は1991年10月、パーソナリティの中西章一氏がSTVのテレビで新たに始まる情報番組『どさんこワイド』にレギュラー出演者として活動の場を移すことになり、惜しまれつつも終了の時を迎えます。最終回は特別な構成で放送されました。まず午前10時から通常通りスタジオでの生放送を行い、その後11時からはSTVホールに場所を移し、『フェアウェルパーティー』と題して抽選で招待されたリスナーを前に公開生放送を実施。リスナーと共に番組の最後を締めくくる、番組名にふさわしいエンディングとなりました。

日々の放送では、様々なコーナーが番組を彩りました。10時台には、リスナーの悩みに寄り添う「ハート110番」や「ラジオあったかぞく」、ユーモラスな「ペリカン・ランランぱくりっこ」、身近な疑問を扱う「こんなとき どうする？」などが放送されました。11時台には、リスナーが自由に意見を述べる「言いたい放題」や、男女間の話題を扱う「男と女の11時」といったコーナーが登場。また、全国ネットの帯番組も放送され、文化放送制作の「今日もいい日に」「小僧寿しチェーン 元気モリモリ高島忠夫です」「志の輔のミュージック気分しだい」、ニッポン放送制作の「池波志乃のちょっとお料理」「文夫のちょっといい話」などが番組内で放送され、リスナーに多様な情報やエンターテインメントを提供しました。

『中西章一の二人三脚』は、パーソナリティ中西章一氏の温かい人柄と、リスナーとの密接な「二人三脚」によって成り立っていました。リスナーからの投稿やメッセージを大切にし、共に番組を作り上げる雰囲気が、多くの人々に愛される理由だったと言えるでしょう。特にチーズ茶漬けを巡る一連の出来事は、ラジオ番組が社会現象にまで発展し得る可能性を示した好例であり、番組の歴史におけるハイライトの一つとして語り継がれています。約3年10ヶ月にわたる放送期間中、日常の話題から社会的な出来事、そしてまさかのブームまで、様々な出来事をリスナーと共に分かち合った番組でした。

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