中谷正人

中谷正人氏(1948年生まれ)は、日本の建築ジャーナリズム界において、その名を広く知られた存在です。神奈川県出身の氏は、千葉大学工学部建築学科卒業後、新建築社に入社。以来、建築専門誌の編集に携わり、日本の建築界の発展に貢献しました。

新建築社では、まず『住宅特集』の編集長として活躍されました。住宅建築という身近なテーマでありながら、常に時代を先取りした先進的な視点と、建築デザインの本質を見抜く鋭い編集眼で、多くの読者を魅了しました。氏は、単なる住宅情報の提供にとどまらず、住宅建築における社会的な役割や、人々の暮らしと建築のかかわり合いなどを深く掘り下げた企画を数多く手がけたことで知られています。

その後、同社の看板雑誌である『新建築』の編集長に就任。建築界の第一線で活躍する建築家やデザイナーたちの作品を数多く紹介し、日本の建築文化の多様性と豊かさを広く伝えました。この期間には、国際的な建築動向にも着目し、日本の建築界が世界に誇るべき建築デザインや技術を紹介することで、国際的な交流や理解を深める役割を果たしました。

『新建築』編集長を経て、新建築社編集部長に就任。編集者としての経験と知識を結集し、同社の雑誌編集や出版事業を統括する立場として手腕を発揮しました。長年にわたる編集者としての経験は、建築ジャーナリストとしての活動にも大きな影響を与えています。

現在は、有限会社中谷ネットワークス代表取締役として、建築ジャーナリストとしての活動を展開しています。多様なメディアを通じて、建築デザインの解説や評論、建築界の動向に関する鋭い分析など、幅広い活動を展開しています。また、千葉大学客員教授として、後進の育成にも力を注いでいます。

氏の著作『建築21世紀はこれからだ―編集者・写真家三〇〇年の視点』（スパイラル社、2013年）は、長年にわたる編集者としての経験と、建築界への深い造詣を凝縮した一冊として高く評価されています。建築の歴史から未来への展望まで、多角的な視点から建築について論じた本書は、建築を専門とする者だけでなく、一般の読者にとっても興味深い内容となっています。

中谷正人氏は、単なる建築評論家という枠を超え、建築文化の発展に貢献する建築ジャーナリスト、そして教育者としての役割を担い、日本の建築界に多大な影響を与え続けています。今後の活動にも、大きな期待が寄せられています。

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