中部銀行

株式会社中部銀行の歴史と破綻

株式会社中部銀行（ちゅうぶぎんこう）は、かつて静岡県に存在した第二地方銀行です。企業番号は0539で、静岡市（現・静岡市葵区）に本店を構えていました。1922年に設立された西遠無尽株式会社を母体としており、1989年には普通銀行に転換して中部銀行と改名しました。最終的には2002年に破綻を迎え、93年の歴史に幕を下ろしました。

銀行の設立と成長

中部銀行の歴史は、1916年4月に浜松市で設立された西遠無尽株式会社に始まります。戦後、本店が静岡市に移転し、1952年には相互銀行法の施行に伴い、「株式会社中部相互銀行」に商号を変更しました。1953年に、初代経営者である石川博資氏が経営を掌握し、その後の成長を牽引しました。

1989年、同銀行は普通銀行へと転換を果たし、再び中部銀行に改名されました。この頃、銀行は順調に業務を展開しており、東京証券取引所への上場も視野に入れていました。

バブル期と不良債権の発生

しかし、バブル経済の崩壊が中部銀行に影を落とします。経営していた帝産グループが中部銀行からの融資をもとに、不動産投資を拡大させた結果、バブル崩壊後に不良債権が増加し、負債は約1000億円に達しました。この不況によって、良並氏は1994年に帝産グループの経営から退き、銀行の会長も降り、日銀出身の飯塚明が新たに頭取となりました。

経営改革と資本提携

飯塚頭取は、帝産グループの影響を縮小するために、1998年に協栄生命（当時の名称）との資本提携を結び、続けて県内の企業や金融機関に株式を売却する方針を取ることで、グループの持ち株比率を98.29%から2.2%にまで減少させました。ところが、その後、同グループ内で内部抗争が発生し、経営の安定を揺るがすこととなりました。

破綻の過程

2000年代に入ると、協栄生命の破綻が金融機関に多大な影響を及ぼし、中部銀行も特別損失を被ります。さらに2001年11月の金融庁の検査では、自己資本比率が自己資本基準を下回る事態に至り、早期是正措置が求められます。

その後、資本増強を試みましたが、預金者の信用不安が増し、結局、2002年3月8日に破綻が決定されました。預金保険法の規定に基づき、破綻処理を申請した際、銀行は債務超過に陥っていたことが発覚しました。最終的に、全国にある支店は他の銀行に営業譲渡され、本店跡には清水銀行の支店が建設されました。

銀行の終焉

中部銀行は2002年3月に破綻した後、営業譲渡を経てその法人格は2009年に消滅し、93年間の歴史に幕を閉じました。銀行の解体は地域経済にも影響を与え、今でもその余波は語り継がれています。中部銀行の事例は、バブル経済の時代が金融機関に及ぼした影響の一端を示す重要な教訓です。

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