中野政樹

中野政樹について

中野政樹（なかの まさき、1929年8月13日 - 2010年6月4日）は、日本の金属工芸史に関する豊かな研究を行った著名な学者です。彼の業績は、日本の伝統工芸、特に金工の理解を一層深めるものとなりました。

人物・来歴

中野政樹は、東京市（現在の荒川区西日暮里）で鍛金作家の父・中野恵祥の長男として生まれました。1949年には東京美術学校に入学し、工芸科で漆芸を学びました。1952年には無事卒業し、その後東京国立博物館の学芸部に勤務し、文部技官として金工史の研究活動を開始しました。

中野は68年には金工室長に就任し、77年には企画課長としても活動しました。また1981年には東京藝術大学の教授に就任し、その業績は日本工芸史や日本金工史を中心に広がっていきました。彼は1988年から1991年にかけて芸術資料館、後に大学美術館の館長を務めており、伝統的な工芸の普及に力を入れました。1996年に退官した後は名誉教授として活動し、翌年からはふくやま美術館の館長もつとめました。また文化女子大学でも教授職を務めていました。中野はその功績により従四位や瑞宝小綬章を追贈されるなど、国の文化に関する高い評価を受けました。

主な編著書

中野政樹は、多くの著作を編纂・共著し、日本の工芸や美術に関する知識を広めました。彼の代表的な編著書には以下のようなものがあります。

• - 『美術撰集 第7巻 和鏡』（1973年、フジアート出版）
• - 『日本の美術 39 (ブック・オブ・ブックス)金工』（1974年、小学館）
• - 『日本の工芸 カラー 7 金工』（1978年、淡交社）
• - 『日本の伝統工芸 3 東京』（1985年、ぎょうせい）
• - 『日本美術全集 第8巻 王朝絵巻と装飾経 平安の絵画・工芸2』（1990年、講談社）
• - 『昭和の文化遺産 第8巻 工芸. 3』（1991年、ぎょうせい）
• - 『日本美術全集 第7巻 曼荼羅と来迎図 平安の絵画・工芸1』（1991年、講談社）
• - 『日本美術全集 第3巻 正倉院と上代絵画 飛鳥・奈良の絵画・工芸』（1992年、講談社）
• - 『日本美術全集 第9巻 縁起絵と似絵 鎌倉の絵画・工芸』（1993年、講談社）

これらの著書は、彼が日本の金属工芸の歴史や特色をどのように捉え、解釈し、広めたかを示す重要な資料となっています。彼の研究は、金工の分野だけでなく、広く日本の工芸や美術全体に多大な影響を及ぼしました。中野政樹は、2010年にその生涯を閉じましたが、彼の業績は今もなお多くの学生や研究者に受け継がれています。彼の研究への情熱と貢献により、日本の伝統工芸の重要性を再認識するきっかけとなりました。

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